背中が泡に濡れていくのを感じながら、魈さんの胸元に濡れた頬を擦り付ける。お互い濡れていたから、水分で肌がくっついて気持ちいい。頬に若干泡が付いているけど、少しだから気にしない。
「ほんとに寂しくなかったんですか……」
「あぁ」
「……ほんとのほんとですか……?」
「何度聞いても答えは変わらないぞ」
「ううう……」
本当に寂しくなかったんだろうか? ちょっと、いやかなり信じられない。魈さんの幽霊が近くにいたら寂しくない……かな……うーん。いやいやでも、魈さんを置いていってしまったことがどうしようもなく悲しい気持ちになる。寂しいとか寂しくないとか、幽霊とかは置いておいて。独りよがりの罪滅ぼしかもしれないけど、魈さんを甘やかしてあげたい。しっかりと身体を洗ってもらっている私が言えたことじゃないかもしれないが……。
腰のあたりに泡を滑らせていた魈さんの手が、不意に内腿の際どいところに触れて思わず声が出る。ひぇ、なんて情けない声が浴室にしっかりと響いて、魈さんがぴたりと手の動きを止めた。恐る恐る魈さんの胸から顔を上げると、身体を洗っているだけだが、と言いたそうな表情の魈さんがこちらを見下ろしていた。
呆れているような半目のわりに、お腹に当たる感覚が少しだけ固くなって無意識に頬が緩む。魈さんが私の身体触っておちんちん反応させてくれてる。可愛い。
「お前……調子のいい女だな」
「あのあのっ、魈さんを甘やかしたいんです」
「まだ言うか……ハァ」
魈さんの背中に手を回して、身体を屈めながら魈さんにくっつくとお腹におちんちんが食い込むぐらいにはなった。さっきまで掛けてくれていたお湯よりもぬるくて少しだけ芯のあるそれが肌に擦れるのが気持ちいい。
甘やかしたいんです、と言いながら身体を動かして魈さんのおちんちんに擦り付けるようにすると大きくため息を吐かれたが気にしない。そうだ、うまく甘やかせられないならもう魈さんのおちんちんを甘やかしてあげるしか……。頭が回っていないような気がするけど、多分まだ逆上せてはいないはず。たぶん。だってその、今日は魈さんにまだ見せていない方の下着もあるわけだし……。一緒にお風呂はたまにするけど、今日みたいに浴室で仲良くできるのは初めてかもしれない。
魈さんを甘やかすにはどうしたらいいですか? と魈さんを見上げながら聞くと、さっきよりもさらに大きなため息を吐かれる。ひどい、私は本気なのに。魈さん〜、と酔っ払った時のウェンティみたいな絡み方をしていると、魈さんがまたため息を吐いて私の腰に置いていた手を動かして泡を広げる。抱きついていた腕を取られて立たされたかと思うと、正面から下腹部に手を滑らされてぞわりと背筋が泡立った。
いつの間にかボディタオルが床に投げ捨てられていて、泡のついた魈さんの手が身体を舐めるように這ってくる。
「ちょ、魈さっ──ん、〜〜〜ッ♡」
「…………っ、」
「ん♡む、ぅ……っんん♡」
それは流石に狙いすぎですよ! と自分を棚に上げて魈さんに注意しようと顔を上げると、私がこうすることが分かっていたかのように魈さんの唇が降ってきて開けた口を塞がれる。さっきみたいに焦らしたりせず、初めから口内に魈さんの唾液を纏った舌を差し込まれる。ぬるついた舌先で上顎をくすぐるように舐められると腰の奥から身体の力が抜けていく。
鼻から抜ける声で魈さんに抵抗しようとしたのに、魈さんの指がお尻に食い込んできて遅れて鷲掴みにされているのを理解する。ち、違う私は魈さんとえっちしたいんじゃなくて甘やかしてあげようと思っただけなのに……! えっちはそれはその、できるならしたいけど今日は別に優先順位高くなかったのに!
遠慮もなくぐにゃりと形を変えられるお尻にかあと首から上が熱くなる。魈さんが行為中にお尻を触ってくることはそんなにないから、今みたいにちょっと乱暴に触られるとすごく胸がぎゅっとなって全身が熱くなる。お尻の割れ目からするりと指を這わされて、まだキスしかしていないのにじんわりと濡れている気がするそこに触れられて思わず声が出た。
お腹に当たる魈さんのおちんちんが少しずつ硬くなっているのに比例してばくばくと心臓が血を沸かせる。舌を根本から絡めるように掬われて、「んぅ〜……♡」と甘えるような声が鼻に抜ける。こ、こうなったら私だって魈さんを甘やかす気持ちはあるってここで意思表示を!
魈さんの首に手を回してぴたりと身体をくっつける。お腹に軽く当たるだけだったそれが密着したことでごりっ♡とお腹に食い込んでくるのにドキドキしてくる。身体を立ったままくっつけてキスすると、私より背の高い魈さんに合わせてほぼ真上を向くようになって過剰に分泌されたどちらのものか分からない唾液が喉に直接落ちてきた。
舌を絡ませたままだとうまく飲み込むことが出来なくてキスしたまま少し咽せると魈さんが優しく頭を撫でてくれて、優しい……♡すき♡魈さんを甘やかすぞって魈さんに応えようとしてるのに、結果私がいつも通り甘やかされていて、悔しさを覚える自分がとっくに頭の片隅に追いやられているのが分かる。
舌を絡めたまま口の外に連れ出されて、浴室の熱気と魈さんからの熱気が合わさって頭がぼーっとしてくる。そおっと魈さんの舌の動きに応えながら目を開けると、透けるように熱くなった金色がぎらりとこちらを直視していて私も目頭が熱くなって勝手に涙が出てくる。お尻を弄っていた手がいつの間にか上がってきて、頭をがちりと固定される。じゅぽ♡とキスとは思えないような卑猥な水音がして魈さんの舌が離れていって、熱に浮かされたままの私はだらしなく口を開けたままになる。
真上から舌の上に魈さんの唾液がとろりと垂らされて、飲めと言わんばかりに掴んだ頭をきゅっと動かされてお腹の奥から愛液が溢れる感覚がした。ぎゅ……♡と収縮した子宮を肌の上からおちんちんがなぞっていて、それだけなのにはしたなく腰が揺れてしまう。
さっきのキスのときよりも粘度が高くなった魈さんの熱い唾液をごくりと飲み干す。たっぷり送られてきたせいで、飲み込むときにごくりと大きな音が出てしまった。
飲んでいるのを音と合わせて魈さんにしっかり確認されていると思うと身体が熱くなってきて、熱でふわふわとした心地さえしてくる。これ、前世で魈さんの仙気飲まされてたのとおんなじ感じがする……♡♡
しばらくこうしてるから足元や背中は少し冷えてきたのに、魈さんと触れ合っているお腹や顔周りは熱気がすごくて目を開けても視界がぼやける。歪んだ視界に映る金色をぼんやりと眺めていると、魈さんが指で目元を拭ってくれて少しだけマシになる。熱が集まって熱い私の顔と同じぐらい魈さんの手が熱くて、ゆっくり瞬きをしながら媚びるような声が鼻から抜けてしまう。ど、どうしようすっごい興奮してる……♡
魈さんの完全に勃ったおちんちんが膨らんでお腹を抉るたびにじゅわりじゅわりと愛液が垂れてきて、足元にお湯ではないものが混ざっている気がする。濡れた睫毛で滲む視界をクリアにするようにぱしぱしと瞬きをしていると、無意識で魈さんの顔から逸れていた視界を魈さんに頭を動かされて強制的に顔を合わせられる。
あ……♡魈さんも興奮してる顔してる♡うれしい♡♡かっこいい♡♡
「……〇〇、」
「はっ……♡はぃ、……んぅ♡」
名前を呼ぶというよりはただ呟いただけみたいで、返事をしようとしてもさっきまでキスしていてべたべたになった唇を指でなぞられてうまく返事ができなかった。口元に残っていたどちらのものか分からない唾液が、魈さんの指と私の唇に糸を張る。そのまま指で唇を捏ねて遊ばれるので、魈さんにぎゅうっと抱きついて暖を取ろうと試みる。素肌が触れ合って、水分でぴたりとくっつくのが気持ちいい。こんなこと言ったら絶対怒られるけど、おちんちんが熱くて硬くて暖が取れる……。ちょっと部分的すぎるけど。
失礼なことを考えていたら、魈さんに見透かされたのか突然頬を引っ張られて情けない声が出る。冷えたか、といつもより低い声で聞かれて、お腹の奥がぞくぞくするのを隠しながら頷くとシャワーの蛇口を捻って背中にお湯を掛けられる。あったかくて気持ちいい。
「魈さんは冷えてないんですか?」
「お前のように軟弱ではないからな」
「うう……一旦湯船入りませんか」
「分かった」
ささっとお互い身体を流してきゅ、とシャワーを止める音が響く。湯船に入るのに魈さんから一旦離れようとするとそれを阻止するかのように軽々抱き抱えられる。驚きと同時に危ないですよ……! ともしもの時のことを考えてヒヤリとしているうちに湯船に入れられて、魈さんと向かい合わせで座らされた。
大丈夫だったな、といった様子の魈さんが鼻を鳴らすのが少し得意げで可愛い。たっぷり入れた湯船に浸かってさっきみたいに魈さんにぴたりと抱きつくと当然のようにキスが再開されて、濡れた唇を擦り合わせるのが心地いい。そういえば下着も持ってきてるんだった、と唐突に思い出して、お風呂上がりに見せたいものがあるんですと言おうと口を開いた瞬間塞がれる。
今日の魈さんはそういう気分なのか、がっちり頭を固定されて息継ぎはおろか逃げることもできなくてくぐもった声が魈さんの口の中に響いた。これ湯船でしてたら出るころにはしわくちゃになって、下着どころじゃないかも……と微妙に当たりそうな予感が脳裏に過ぎる。
じゅる、と舌を吸われながら湯船の中でするりと腰を撫でられてぞくぞくと背筋が泡立つ。
さっきの余韻とも合わさってゆらゆら腰が揺れると、湯船のお湯が波を立てて浴槽に当たる音が響いて顔が熱くなった。