ピッコロ




穏やかな陽光が差し込む、緑豊かな山の中。薔薇子は、手作りの可愛らしいお菓子をバスケットに詰め込んでいた。
今日は、以前から会ってみたかった、少し怖いけど優しいピッコロに、お菓子を届けに行くのだ。


「ピッコロさん、こんにちは!」

薔薇子は、ピッコロが修行をしている場所にたどり着き、声をかけた。

ピッコロは、瞑想を中断し、ゆっくりと薔薇子の方へ振り返った。

「…何の用だ?」

相変わらず、表情は険しい。でも、薔薇子は臆することなく、笑顔でバスケットを差し出した。

「これ、私がお菓子を作ってみたんです。ピッコロさんに、ぜひ食べてもらいたくて。」

ピッコロは、バスケットの中身を覗き込んだ。色とりどりのクッキーやマフィンが、綺麗に並んでいる。

「…お菓子、か。」

ピッコロは、少し困ったような表情を浮かべた。

「あの…、ピッコロさんって、何か食べられないものとかありますか?」

薔薇子が尋ねると、ピッコロは静かに答えた。

「オレは、水しか飲まない。」

「えっ…?」

薔薇子は、驚いて目を丸くした。

「そ、そうなんですか? ナメック星人は、食べ物は食べないって、本当だったんですね…。」

少し残念そうな薔薇子を見て、ピッコロは小さくため息をついた。

「…食べられはしないが、気持ちだけは受け取っておこう。」

ピッコロは、そう言うと、バスケットの中からクッキーを一つ取り上げた。

「ありがとうございます!」

薔薇子は、再び笑顔を見せた。

「今度、美味しい水を見つけて、ピッコロさんにプレゼントしますね!」

「…別に、いらん。」

ピッコロは、そっけなく言った。

「でも、約束します!」

薔薇子は、元気よくそう言うと、ピッコロに背を向けて走り出した。

「また来ます!」

薔薇子の声が、山に響き渡る。ピッコロは、薔薇子の後ろ姿をしばらく見つめていた。
そして、手に持ったクッキーを、じっと見つめた。


その日の夕方、ピッコロは、いつもの修行場ではなく、薔薇子が来る方向の山道を、静かに歩いていた。

(…しかし何故急にお菓子をオレに…?)

ピッコロは、疑問に思っていた。

(あんなに、笑顔で…。)

薔薇子の笑顔が、脳裏に焼き付いている。

(…少しだけなら、付き合ってやってもいいのかもしれないな。)

ピッコロは、そう思うと、足取りが軽くなった。

山道には、可愛らしい花が咲き乱れている。薔薇子は、その花を摘みながら、鼻歌を歌っていた。

「あっ!」

薔薇子は、ピッコロが近づいてくるのに気づき、笑顔で駆け寄った。

「ピッコロさん、こんばんは!」

「…。」

ピッコロは、無言で薔薇子を見つめた。

「あの、一緒に水を探しに行きませんか?」

薔薇子が、提案する。

「…別に、構わん。」

ピッコロは、そう答えた。



二人は、並んで山道を歩き始めた。夕焼けが、二人を優しく包み込む。


end...

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