でもそんなのただのわがままだから
リーグは毎日挑戦者を受け付けているが今日はてんで人が来なかった
挑戦者が来たとしても四天王の一人目の時点で連絡が来るので名前はグリーンとチャンピオン用控え室で紅茶と菓子を堪能していたときのこと
「だからって黙って帰したのかよ!」
レッドとのバトルから三日目、リーグに遊びに来たトキワジムのジムリーダー
兼名前の幼なじみであるグリーンは三日前の出来事を聞いて声を荒げた
せっかく下山したのに、とチャンピオン用控え室にある椅子に座ったグリーンが溜め息を吐いた
「仕方ないでしょ、その後すぐに次の挑戦者が来たんだから」
「……そんなすぐに来るなんて珍しいな」
「ええ、だから私は仕事を優先させたのよ、レッドだってすぐに出て行っちゃったし」
はあ、とテーブルに肘を置き紅茶の啜った名前、正面に座るグリーンも少々腑に落ちない様子でカップに口を付けた
公私の混合は厳禁だ、その時名前が優先すべきだったのは公の部分、仕事を優先させねばいけなかったので仕方ないと言えば仕方ないことだった
名前だって内心ではこのままではいけない、と思い引き止めたかったのだがそれが出来なかった
無理強いはよくない、前に自身が言ったこの言葉が彼女を制止したのだ
「だって……」
「……ごめん、言い過ぎた」
「あのね、シロガネ山でのレッド、あの時と同じ顔してた」
「?」
「マサラタウンを出て行ったあの日と同じ目だった」
マサラタウンを旅立った日のレッド、決意と希望に満ち溢れた生き生きとした顔
あの日三人は同じ研究所でオーキド博士からそれぞれポケモンをもらい、旅立ちそれぞれの道を歩んでいった
あの時と同じ、あの瞳をしているレッドには何を言っても通用しないということがわかっていたから
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