01
今日はスキージャンプの新記録にでも挑戦しようと思ってゲレンデまで行ったのはいいけど、ゲレンデに着いた途端に何だかそんな気分になれなくなって、仕方ないので北ヶ峰まで行くことにした
それから北ヶ峰に行って感傷に浸っていた、というのはちょっと語弊があるかもしれないけど
そこでしばらくボーっとしていたら急に寒くなって、サッカーボール傍らに震えていると大きなバスが止まって学校の近くまで乗せてもらうことになった
学校の近くでお礼を言ってバスを降りる、今の人たちどこかで見たことがある気がする、まあ気にしないでおこう
さあ、早く部室に行って名前に会いたい、名前の手を握って、抱きしめて、温まりたい、その一心で部室に行けば紺子ちゃんにお客さんが来ていると教えられた、誰かな
僕に用事があるってことはサッカー関連なのだろうな、と頭の片隅で考えながら部室に入れば見知った顔ぶれがいた
「あ、お前……!」
「あ、君たちは……」
「お前が熊殺しか!?」
「あー、実物見てがっかりさせちゃった? でも、これが本当の吹雪士郎なんだ」
話を聞けば彼らは雷門サッカー部だった、どこかで見た気がしたのは気のせいではなかったみたいだ
ふと気づいた、名前がいない、部室内を見渡してもどこにも居ない、僕の挙動がおかしいことに気づいたのか、吉良瞳子と名乗った監督らしい女の人が口を開いた
「どうしたの? ……そういえば基山名前さんはどこにいるのかしら?」
「もしかして名前もスカウトしに……?」
「ええ、そのつもりよ」
やった、これでこれからもずっと名前と一緒に居られる、そう思ったら僕は自然と笑っていて、僕の中のアツヤも笑っていた
「紺子ちゃん、名前は?」
「えっとね、名前ちゃんは今呼び出されてるからもうすぐ来ると思うよ」
「呼び出し……? 誰?」
「えっとね、確か隣のクラスの男の子だったと思うよ」
紺子ちゃんの言葉に僕の背筋が凍りつきそうになった、名前が男の子に呼び出されるということは十中八九告白だろう
僕と同じく名前はモテる、だからこそ心配になる、名前が僕以外の誰かのものになるなんて、想像しただけで腸が煮えくり返りそうになる
早く帰ってきて、そう思っていると名前が慌てた様子で部室に入ってきた
「ごめんねー、ちょっと遅くなっちゃった」
「いいだよ、それより名前ちゃんにお客さんだべ」
きっと断ったんだ、いつもと変わらない様子の名前に僕とアツヤは胸をなでおろした
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