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「名前はね、前世の記憶を持って生まれてきたんだ」
僕の言葉にみんなが目を見開いた、未だに眉間にしわを寄せながら苦しそうに寝ている名前の手を握り締めた
僕とアツヤの問題もそうだけど名前のこの問題は避けて通れない、いずれ知ることになるならば早いほうが良いだろう
これでみんなが名前に対しての態度を変えなければいいのだけど
「信じられないかもしれないけど事実なんだ」
「……でも、それが名前をどう苦しめたんだ?」
「その記憶が問題なんだ、全部話すね」
前世の名前はそれはそれは幸せな家庭を築いたんだって、優しい旦那さんにサッカーが大好きな二人の息子、毎日仕事で疲れても苦にならないくらい、幸せだったらしいよ
名前が知っている記憶はそこまでだったらしいんだけどある日夢を見たんだって
ある日前世の名前の仕事が長引いていつもより遅く家に着いて、中に入ったら息子たちが血塗れで倒れていて、それをやったのが旦那さんだったんだ
あんなに優しかった旦那さんが無理心中をしようとしていると気付いたときにはもう遅く、前世の名前は殺されてしまったんだ
幼かった名前にはその記憶を他人と割り切ることが出来なかった、それが精神的障害となってしまい人に愛されると殺されると潜在的に思い込んでしまっているんだ
僕が簡潔に伝えるとみんなの顔が暗くなっていくのがわかる、それもそうだ、他人のトラウマ話なんてみんなには酷な話だったはずだ
「親には、話さなかったのか?」
「無理だったんだよ、その夢を初めて見たとき名前は孤児院にいたんだ」
瞳子監督を一瞥するとばつが悪そうに俯いた、このとき鬼道くんと音無さんが肩を揺らしたが見なかったことにしておこう
この話もしといた方がみんなのためだよね、今後名前とどう向き合うかを考えてもらう良い機会だ
聞いて、僕は重い口をゆっくりと動かした
名前は前世の記憶を持って生まれてきた、だけど幼かった名前にはそんなこと分かっているはずもなくて、物心ついた頃から大人びた言動を取っていたんだって
そうだよね、殺された記憶は心の奥に閉ざされていて名前自身は前世の記憶の続き、大人のままだと思ってたんだよ、自分が年端も行かない子供だなんて理解出来ていなかったんだよ
名前の両親も最初はよくできた子だ、天才だってはやし立ててたんだって、でもそんな幸せな家庭も長くは続かなかった
両親は次第に名前のことを気味悪がり名前を孤児院の前に捨てていったんだって、ここで待っててねって言って
でもいくら待っても親は迎えに来なくて、捨てられたんだって名前は気付いた、それからそこの孤児院でお世話になったんだ
「名前姉……」
僕の話を聞いていた木暮くんが小さく呟いた、名前と小暮くんは経緯は違えど同じ境遇だったね、ちらりと小暮くんを見やってから僕は続けた
それからとある老夫婦に引き取られて北海道に来たんだ、それで僕と出会ったんだよ
「その育ての親である老夫婦もこの前……」
それだけ言えばみんなは察したのか顔を歪めた
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