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 炎のストライカーと呼ばれている奴がいるということで俺たちは沖縄行きの船に乗っていた
 沖縄に近付くにつれ基山の表情が険しくなる、額には汗がにじみ口からは小言が飛び出す

「無理、有り得ない、暑い、死ぬ……」

 北海道育ちの基山にとってこの暑さは厳しいのだろう、同じ北海道育ちの吹雪は長袖なのに涼しい顔をしているが……
 吹雪曰わく基山は気温などに敏感なのだそうだ、なるほど、しかしこの調子ならば練習には参加できないだろう
 レースがふんだんにあしらわれた日傘を差し、タオルで汗を拭っている基山はどことなく艶めかしく、隣に座っている吹雪の存在がそれを一層引き立たせていた
 大丈夫かい、もうだめ、そんな睦言を繰り返す二人は端から見たら恋人のそれにしか見えない、恋愛事に敏感な浦部が二人を見て騒いでいる
 それから目金が海に落ちた、それを助けてくれた奴は綱海というらしく、ここにはサーフィンをするためだけに来たらしい


 その夜、寛いでいた俺たちの元へやってきたのは巨大な魚を持った綱海だった、魚は綱海と基山の手により豪華な料理へと変貌した
 取れたての魚は見た目通り美味だった、舌鼓を打っていると財前が綱海と握手をしているところが見えたので財前の中のわだかまりは解決したのだろう

「綱海って何歳なん?」
「ん、15」
「あ、じゃあ私と一緒ね」
「おー、そうなのか、よろしくな!」

 浦部の何気ない質問に答えた綱海と嬉しそうにその会話に加わった基山、待て、今15歳と言ったのか

「三年生……」
「ん? 言わなかったっけ?」
「私も言ってなかったかしら?」

 その場に居た全員の表情がこわばるのが手に取るように分かった、基山も綱海もきょとんと見渡しているだけ

 よくよく見れば基山は雰囲気や言動もどことなく大人びていて顔立ちや身体の成長度合いも他の女子に比べて良い
 吹雪と敬語なしで会話をしていたものだからてっきり同い年なのだとばかり思っていたのだ

 案の定円堂は綱海と基山にたどたどしくも数々の非礼を詫び始める、しかし二人は嫌な顔をせず、むしろ笑みを浮かべる

「いいっていいって、そんなこと海の広さに比べればちっぽけなことさ、ため口で頼むぜ」
「私も、敬語はいらないわよ、それにしても年上に見られることはあるけど実年齢より年下に見られたのは初めてね」
「だって吹雪とため口だったし」
「あー、なるほど」

 ふふ、と基山が綺麗に笑って見せたのに大して男たちが生唾を飲めば、すかさず吹雪が威嚇といわんばかりに基山の前に立ってどす黒いオーラのようなものを振りまいた

「まあ名前とは幼なじみだしね」
「白恋のサッカー部のみんなにも敬語はやめてって言ってたからね」

「……改めてよろしくな、綱海、名前!」
「ああ!」
「ふふ、よろしく」



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