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「お前はもう必要ない」
デザームの言葉に士郎の、アツヤの顔色が眼に見えて悪くなる
必要ない、その言葉が士郎にとってどんなに重い言葉なのか、私は知っているからこそ士郎の元に走っていって支えてあげたい
抱きしめて、士郎は不必要なんかじゃない、私は士郎がいないと死んじゃうよって言ってあげたいのに
私の思いとは裏腹に体は鉛のように重くて動かない、私は立ったまま石化してしまったようだ
ああ、頬を濡らす液体は何だろう、握った拳が震えるている、息が、苦しい
私が取り乱していることに気づいた春奈ちゃんがあれこれ声をかけて心配してくれているが私の耳には届かなかった
「士郎、アツヤ……!」
ようやく出てきた言葉は小さくて、きっと二人には届いていないだろう、それでも呼ぶ、何度も何度もただ二人の名前をひたすらに私は呼んでいた
「僕は(俺は)何なんだーっ!」
二人の悲痛な叫びが聞こえてきた気がした
そのまま士郎はその場に力なく座り込んだ、士郎が苦しんでいるのに私は何もできないのだろうか
円堂くんに何度名前を呼ばれて反応はなく、私はというと春奈ちゃんに肩をつかまれようやく正気に戻れた気がする
みんなに連れられてベンチに来た士郎は頭にタオルを掛けられているために顔色が伺えない
私は今私にできることがしたい、暑さなんて関係ない、士郎が苦しんでいるときに私はただ休んでいるだけなんて、絶対に嫌だ
意を決し、瞳子さんに話しかける、私は試合に出たい
「瞳子さん、私を試合に出して下さい」
「それは許可できないわ」
「っ、監督お願いします!」
「目金くん、吹雪くんのポジションに入って」
「監督……!」
「今のあなたが入っても戦力にはならないわ」
わかってる、私が戦力にならないことぐらい、でも士郎をこんなにさせた奴らに、一矢報いたい
なのに、今の私にはそんな力がない、ただの役立たず、ここにいる意味ないじゃない
自分の無力さに失望しているとデザームがキーパーからフォワードへとポジションを変え、あっけなく正義の鉄拳を打ち破ってしまった
後半が始まってもなお決定力のない雷門が押されていた、しかし円堂くんを始めとする雷門イレブンは諦めるという言葉を知らない
立向居くんの助言でパワーアップした正義の鉄拳が決まったとき、グラウンドに一人の男の子が現れた、円堂くんの言葉でその男の子が豪炎寺くんだと知った
「あれが豪炎寺くん……」
豪炎寺くんが戻ってきたことにより士郎の顔色が一段と悪くなった気がした、居場所がなくなるとか考えているのだろう
大丈夫だよ、雷門に居場所が無くなっても私がいるよ、士郎の手をキュッと握れば士郎が小さく私の名前を呟いて弱々しくも握り返してくれた
それから豪炎寺くんの活躍によりイプシロンに勝利し、デザームと握手をしようと円堂くんが手を差し伸べたときだった、懐かしい人物が眩い光と共に姿を現した
「ガゼル様!」
「私はマスターランクチーム、ダイヤモンドダストを率いるガゼルだ」
新しい練習相手だと発言する彼と目が合う、私のことを覚えていてくれたのだろう
目が合ったのもほんの一瞬で、またも眩い光を放ってイプシロン改と共に消えていった
「風介……」
暑がりの癖にいつも私に引っ付いていたその子の名前を呟いても風にかき消されて終わった
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