01

 僕は天使にも悪魔にも成れなかった成り損いの存在としてこの世に生を受けた、赤ん坊だった僕に能力を制御する力なんて無くて羽を生やして飛んでしまったり炎を出してしまって親に悪魔の子だと捨てられた、悪魔でも天使でもないのに
 捨てられた僕が行った先はお日さま園という孤児院だった、僕は愛してくれるはずだった両親に捨てられた事実とこの力が人間界では恐れられているということから誰も信用しなくなった
 孤児院の子供たちは僕と仲良くしようと近づいてきたが僕はこの力が受け入れられないことを知っていたから必要以上にかかわらないようにした、どうせあとで悲しむのは僕なのだから
 そう考えればもう吹っ切れていて公園などに一人で赴いては文字通り羽を伸ばしていた、神様は何故僕もこんな成り損ないに育てたのだろう、みんな僕を悪魔だの天使だの好き勝手呼んだ

 いつしか孤児院の中ではサッカーで地球を征服する宇宙人ごっこが流行っていた、チームごとにランク付けされ最高座位を奪い合う仕組みは天使や悪魔に階級をつける神様やサタンとあまり変わらないのだなとうすぼんやりと思っただけだった
 もちろん僕にも宇宙人としての名前を与えられたがそんなもの必要なかった、僕はサッカーをやったことがなかったしみんなが呼ぶ父さんにも興味がなかった
 サッカーをやったことがなかった僕はマスターランクの補欠となっていた、そこのキャプテンたちにも興味はなかった
 何にも興味のない僕はもちろん練習なぞにも出ることはなかった、ただ羽を伸ばして知らない場所へ行きたかっただけだった
 だから最初は単なる興味だった、空を飛んでいると綺麗な建物があったから興味本位で中に入ってみただけだった、そこは建物という割には天井がなくいっぱいの席と緑の芝生だけの簡素な見た目だった
 そこがサッカーをするためのグラウンドだと知っていたのはあの孤児院で宇宙人ごっこをしている奴らがサッカーをしていた場所に似ていたから
 ふわりと降り立った僕はグラウンドの真ん中でぼんやりと周りを見渡した、見渡す限り誰もいなくてこの広い場所に一人でいることに対しての疎外感などなく、むしろ誰も僕を見ていないということが心地よかった
 ふと人の気配がして振り向けば一人の神様が六つの羽を伸ばして僕の前に降り立った、羽を持っているのに僕とは羽の枚数も纏う輝きも何もかもが違う
 金の長い髪を持った彼は亜風炉照美と名乗り笑みを浮かべた、その笑みは聖母マリアを彷彿とさせる僕なんかには勿体無いくらい綺麗な笑みだった

「君は天使にも悪魔にも成れなかった存在だね」

 照美は僕を一目見ただけで成り損ないであると見抜いた、ああこの人が神様なのかと僕は瞬時に理解した、この人は聖母マリアではなくイエス・キリストの生まれ変わりなのだと思った
 僕が名前を名乗ればその綺麗に整ったつややかな唇が僕の名前を呼ぶ、勿体無いくらいに心が幸福で満たされていくのがわかった
 神様に懺悔するよう僕の全てを話した、全てを聞いた照美は僕の頭を撫でてほめてくれた、頑張ったね、と僕にねぎらいの言葉をくれたのだ
 僕はすっかり照美に心を許して僕の出来る限りの能力を見せた、その一つひとつを嫌な顔をせず微笑みを向けてくれていた、愛されるということがふどんなに幸福なのかを今理解できた気がする
 聞けば照美はサッカーをやっているらしい、照美は強いけれどチームや戦う人間にレベルを合わせているのだと言う、めんどくさくないのか聞けばそれもまた楽しいのだと笑った
 それまではまったく興味のなかったサッカーに興味が沸いて照美に色々と教えてもらった、初めて趣味を持った、白黒だった世界に照美という色が付いた



  >>
 >>戻る >>TOPに戻る