05
マネージャー業をしないと言った僕は宣言どおり何もせずただ練習している照美を見つめるだけの日々を送っていた、監督という人にも暇じゃないのかと言われたけれど照美を見つめるだけでも精一杯なのに暇なわけがないだろうと思ったが人と話すことすら嫌だったので返事は小さく首を横に振るだけだった
たまに練習に参加させてもらった、照美と一緒にゴッドノウズを打てたのはとても気持ちがよく、何物にも変えがたい幸福だった
やっぱり照美は強かった、照美と晴矢と風介の活躍によって韓国代表は順調にアジア予選の決勝まで進んだ、相手は日本代表、嫌な予感がする
日本代表にはグランがいて韓国代表に晴矢と風介がいることにも驚いていたが、韓国のベンチに座っている僕を見てもっと驚いていた、グランもきっと本名があるのだろうが僕は知らない、知らなくてもなんら差し支えないだろう
向こうには円堂がいるそれだけが危惧すべき事実だった、しかし円堂は試合には出てこなかったので僕の心配は杞憂に終わったのだと安心していた、しかしそれもつかの間だった
円堂が試合に出てきてからは流れが変わった、照美たちにとっては悪いほうへと変わったのだ、あのモヒカンがシュート技も持ってないくせに一人で突っ走っていれば照美は楽だったのに
そして照美が負けた、危惧していたことが起こったのだ、本当は円堂たちなんかよりずっと強いのに、力を制御して戦ったから、それにこの世界では円堂が勝つのだと仕組まれているから負けたのだ
照美は全力で戦ったといっていたがうそだ、照美も晴矢も風介もグランも本当はもっと強いのにこの戦いにレベルを合わせていたんだ、僕には分かった
宿舎に戻った照美たちは泣いた、晴矢も風介もチャンスウも泣いていた、大方悔し涙だろう、泣いているのに照美の涙はとても綺麗だった、その涙一滴で砂漠をたちまちオアシスにしてしまうくらい綺麗で尊いものだった
僕は自然と照美の目尻に唇を寄せその雫を吸い取った、照美は僕を抱きしめて僕の方を濡らした、いつもと違い今日は僕が照美の頭を撫でてあげた、撫でれば撫でるほど僕の目からも涙が溢れて止まらなくなった、気づけば照美にしがみ付いて僕も泣いていた
照美が晴矢と風介と共に日本に帰るので僕も一緒に帰る、やは韓国には照美が来たから一緒に来ただけでやはりここにも未練なんてものは存在しなかった
しばらくしてFFIの優勝者が日本代表に決まった、やっぱりこの世界は円堂が勝つように仕組まれているのだと改めて感じた、だから円堂は嫌い、安い言葉を相手に投げかけ、全てを分かったふりをしている円堂が大嫌い
さらにしばらくして雷門中とやらに転校生が来たとのだと照美に聞いた、この世界とは別の世界からきた女だと照美はとっくに気づいていた
僕も気づいていた、やってきた女がこの世界とは別の世界からきた奴だと、そんなことにも気づかないであいつらはあいつを可愛いとはやし立て恋焦がれている、本当に馬鹿だ
僕は照美と二人で高いところからそいつの行動を傍観することにした、そこら辺のテレビを見ているより面白いかもって照美が笑みを浮かべながらお菓子の袋を開けた
神様と成り損ないのはなし
おわり
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