01.君と私はもういない

 気付いたらまたこの島に存在していた、私は死んだはずなのになぜここにいるのだろうか、それとも私は死んでおらずまだあの穏やかな日常が続いているのではないかと錯覚してしまうほど
 木に触れることが出来ればささくれが痛いという痛覚も存在し足も可視できる、死ぬ前とまったく同じ状態だ

 私が死ぬ前とは島の様子がだいぶ違っており、生まれ育った村に足を運べばそこは既に廃村と化しており誰かがいる形跡すら無く、やはり私は死んでいたのだと実感した
 村の守り神である像も私が生きていた頃に比べて随分と苔むしていおりそれだけの歳月が経っているのだということを理解した
 ゆっくりと吸い込む空気は生暖かく死んでいる心地がしない、私だけがここに取り残されてしまったようだ


 どうもこの島に私以外の気配がしてならない、とりあえず何をしていいのかも分からない現状でもあるのでこの懐かしくも憎たらしい島を見て回ることにした
 高くそびえる変な建物が珍しくて入ってみようと試みたが何やら怪しい大人たちが立っていて到底入れる雰囲気ではなかったため断念
 仕方なしに森の中に戻れば私の生まれ育った村で行っていた競技に似ている何かをしている人たちがいた、黒い衣装を身に纏った彼らはしなやかな身のこなしで踊っているだった
 じっと様子を見ていたら男の子と目が合い気のせいかと思っていたら話しかけられてしまった、どうやら私は生きてる人にも見えるらしい

「初めまして、僕はカイ」
「私は名前」
「この島で何してるの?」
「えっと、」

 カイに聞かれて返答に困ってしまった、幽霊だなんて言えるはずもなく観光やバカンスにしても手荷物の一つも持っていないのは怪しすぎる、何より先ほども感じたが現在この島はそういった雰囲気ではないみたい
 とりあえず適当に誤魔化したらあいつみたいで不思議な奴だと笑われた
 あいつとは誰のことだろう、私が問いかける前に背後から誰かが近付いてくる気配がした
 私が振り向く前にカイがその人の名前を呼んで、その名前に驚いた私は振り向くことが出来なくなって、それからその人に肩を掴まれてようやっと体を動かすことが出来た

「シュウ、おはよう」
「やあカイ、それに名前も、おはよう」
「……シュウ」

 この島に取り残されたのは私だけではなかったのだいうことと同時に、カイの言うシュウが本当に彼だったこと
 様々なことが重なってしまい私の頭は混乱していたが心は不思議と安堵していた



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