02.もう一度チャンスを
僕がこの島に留まってしまってからエンシャントダークというチームに入れてもらい、今日もチームの練習に合流しようかと思った矢先僕の目に飛び込んできたのは懐かしい後ろ姿だった
本当に彼女なのだろうか分からなかったしもしかしたら人違いかもしれない、だって彼女は天命を全うしたのだから、そう頭では考えていても体は正直だ
掴んだ肩や振り返った時に鼻先をくすぐった匂いも驚きに揺れる瞳も、全てあの時のまま、何も変わっていない
ゆっくりと振り向いた女の子の名前は名前という、かつての僕の友人だった、否、彼女には友人以上の念を抱いている
「シュウの知り合い?」
「うん、幼なじみみたいな感じ」
「そーなのかー」
カイに聞かれて咄嗟にそう答えたが語弊はないはず、あの時までは結構親しかったから
深くは追求しないでくれるカイに感謝をしつつ唐突な再会を喜びたいからと練習を休む口実を作り上げ、名前の手を掴み森の中へ進んだ
しばらく歩いてたどり着いたのはかつて僕たちの村があった場所だ、村を追放された僕がこの場所に来る資格なんてないのかもしれない、懐かしくも忌まわしいこの場所は嫌に居心地がよかった
連れてきておいてなんだが名前にかける言葉が見当たらなかった、天気がいいねなんて世間話をする雰囲気ではないことくらい僕にもわかる
「シュウはいつからここにいたの?」
何も言わない僕を見かねたのか名前が口を開いた、いつからというのは死んでからだろう、僕は素直にどれくらい前からいたのかを答えれば名前はただ頷くだけだった
そういう名前はつい先ほどここにきたのだという、死んでから数十年も経ってから現れるというのは実に不思議なものだ
「名前も、何か未練があったの?」
「も、ってことはシュウも何か未練があるってことだね」
僕の心を読むように彼女はふわりと微笑んだ、もう一度僕が聞こうとしたら人差し指を唇に当てたので追及することが出来なくなった
僕の未練なんて分かりきっているだろう、あの時手に出来なかったものを求めてただひたすらに球を蹴り続ける、ただがむしゃらに強さを求めている
だからサッカー管理組織のシードというやつにもなったしエンシャントダークでもキャプテンに成り上がった
この時代でも結局強さが全てなのだということも知った、強くなければ意味が無いんだ
「シュウ、悲しい顔してる」
「……僕が?」
「うん」
僕は間違ったことはしていないはずなのに僕を見る彼女の眼はどこか悲しげで、その瞳に隠された真意を理解することが出来なかった
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