「ところで星」
「なあに、月ちゃん」
「私たちはこれから解決しないといけない問題が山積みだよね 」
「そうだねぇ」
「最初にすべき事、分かる?」
「んーっと、やっぱり情報収集とかかな?」
「それも大事だけどそれよりもさあ」

 2人の会話が止まる。不思議に思ったカルアは首を傾げて草むらからもう一度覗く。カルアが隠れている場所を指さす桃色の少女と指先を辿って視線を向ける水色の少女。2人と1人の目がばちんっと合う。
 カルアの存在に気付いた水色の少女は両手で頬を押さえ奇妙な悲鳴をあげる。見つかった驚きで身を固めるが思考は正常に働いているカルアは思う。この表情、有名な絵画に似ていると。

「ひょわあああ?! つつ月ちゃん、人が、人が!」
「いるんだよねえ」
「どどどどうしよう! 人に見つかったらアブダクションされちゃうって聞いたよ!」
「困ったよね」
「待て待て待てーい! 宇宙人がアブダクションする側であり、この場合される危険があるのは私!」

 非人道的な行いを警戒されることは我慢ならず、立ち上がる。思わずツッコミを入れるような物言いになってしまったとカルアは咳払いを軽くし、服に付いた葉を払う。見つかってしまったのであれば隠れる意味もない。枝が掠れて地味に痛い思いをしていたカルアは清々したという顔で草むらから出てくる。

「私たちはしないよ!? 宇宙人じゃなくて宇宙からきたポケモンなんだから!」
「宇宙からきた者を宇宙人と定義付けているなら間違いじゃないけどね」
「突然の裏切り!」
「事実を述べただけだよ」
「正論がいつも正しいってわけじゃないからね!」

 カルアの言葉を聞いた2人はそれぞれの反応をし、思わず笑ってしまいそうになるような掛け合いをしていた。水色の少女はぷっくりと頬を膨らませて反論するが桃色の少女は静かに頷いて納得していた。温度差が激しいがそれで噛み合っているのだろう。
 賑やかで可愛らしい組み合わせだとカルアはほっこりとした気持ちでそのやりとりを見守りながら考える。宇宙から訪れたポケモンとの出会いなんて一生に一度ない寄りのあるかないかだろう。この貴重な出会いをすぐに手放すのは惜しい。さて、どうしよう。2人との関わり方を悩み、ふと空を見上げる。月も太陽を顔を見せていなかった空は白み始めていた。

「……とりあえず朝ご飯を食べる? 私、キャンプ道具あるからご飯作れるよ」
「はいはいはい! 食べたい!」
「え、ちょっと星」
「ぐぅっ。うー……ねえ、月ちゃん。しばらくはひもじい思いするかもねって脱出ポッドの中で話したよね」
「うん。宇宙から降り立ってすぐに食料確保できるわけないからね」
「その覚悟をした矢先にこの申し出! もう何かのお導きだと思わない?」
「思えない。もう少し警戒心を持って」

 水色の少女は両手を挙げてカルアの誘いに乗ろうとする。そこを桃色の少女が手綱を引っ張るように水色の少女の首根っこを掴んで制止する。首が締まって濁った声を出した水色の少女は後ろへ転倒する。鈍い音をたてて頭部をぶつけていたが、水色の少女は手足をばたつかせて駄々をこねる。桃色の少女はため息を吐いてしゃがみこむ。
 駄々をこねて聞く耳を持たない幼稚園児の妹を宥める中学生の姉。数年前の自分と姉もこういう感じだったのだろうと懐かしむ。が、数十秒後に自由奔放の姉がぐずって動かなくなる自分の面倒を見てくれてるわけがないと否定する。


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