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どうやら今日は、ウギョルハウスというものの場所に行くらしい。
ウギョルハウスが何か解らなかったから移動中に調べたら、ウギョルハウスなるものは要するに僕とテグンの新居というものだと解った。

結構手が込んでいるんだね。
こういうバラエティーは初めてだから、新鮮で面白いところもあるかもしれない。
…まあ、ジン兄には絶対言えないけど。

連れてこられたのは、一件の家。
予想よりも立派な外観に、驚いてしまった。



「……何もない、ね。」

「ミッションカード…。」

「内容、なに?」



部屋に入り、あまりにもシンプル過ぎる部屋の内装に、言葉を失う。
まさかこんな何もない部屋で暮らせ、とでも言うんじゃないだろうね?

必要最低限しかない家具に驚いていると、テグンがミッションカードを差し出して来た。
こいつ、読まないつもりか?

内容は?、と訊くと意外にもすんなりとミッションカードの内容を読み出したテグン。
この前の説教が効いたのか、嫌な顔ひとつ見せずにスラスラと読んでいる。

カードに書かれていたものは、足りないものの買い物に行く、というもの。
なるほど、買い物に行くためにこうして必要最低限の家具しか置かれていないのか。
それなら納得出来る。



「それにしても、また移動するんだね。」

「…じゃあ、買い物には行かない?俺はなまえが居たら、それで良いけど。」

「………キミって…いや、なんでもない。買い物はちゃんと行くから。ほら、行こう。」



テグンの変わりように、もしかしたら僕はついて行けないのかもしれない。
僕が居たらそれで良い、なんて。
恋愛からもう随分と長い間疎遠だった僕には、少し衝撃が大きかったみたいだ。

顔が熱くなっていることに気付きながらも、それを悟られないように普通に返したけど。
多分、隠してみたところでBEASTのメンバーにはバレるんだろうな。

悟られないようにテグンの手を取り、車に乗るために外へと向かった。
だけどそのときテグンに手を離されて、不思議に思っていると手を掴みなおしてくる。
これは俗に言う…"恋人繋ぎ"か。



「…こっちの方が良いと思って。」

「………なんでも良いよ…。」



演技をしろ、と言ったのは確かに僕だ。
だけどここまでするなんて、予想外過ぎる。

テグンの突然の変化に、ついていけない。
自業自得だと言われたらそれまでだけど、僕だってまさか…あんなキャラがここまでになるとは思っていなかったのだから。

繋がれた箇所に、熱を感じてしまう。
そしてまた重なってしまった、過去のこと。
こうして繋いでいたことが…懐かしく思える。



「…なまえ?」

「もう良いよ。運転するから、手を離して。」



車に乗り込んでしまえば、カメラも少ししか抜き取られない。
免許は僕が持っているからなのか、運転をするのは何故か妻である僕。
テグンは…免許を持っていないのか?

それよりも、車のシーンになって良かった。
あのまま手を繋いでいたりしたら、流石に恥ずかしくて堪らないから。



「何処に行く?」

「まあ、適当に…。ショッピングセンターにでも行けば何かしらあるだろ。」



車での会話は、そこまで多くはない。
こんなシーンはあまり使われないだろうから、僕もあまり話さなかった。
下手に話して事故なんて起こしたくないしね。

しばらく運転して着いた、よくある大型のショッピングセンター。
適当な場所に車を停めて鍵を閉めると、テグンから手を差し出される。

…これはつまり、手を繋ごう、ということか。

テグンの手をジッと見つめ、ふとテグンに視線を向けるとテグンは不思議そうにしていた。
なんだ、テグンはナチュラルたらしなのか?

旦那から差し出されている手を取らない、なんてあり得ないことだろう。
少しの抵抗も感じつつ、抗うことなくテグンの手に自分の手を重ねた。



「疲れたら、寄り掛かっても良い。」

「…なるほど。そういうことね。」



演技にしては徹底するな、と思っていたが、恐らくこれは…テグンなりの気遣い。
僕が寝不足だということを知っているからなのかは解らないけど、「疲れたら寄り掛かっても良い」と言っているあたりそうだと思う。

仕事は仕事だからきちんとするし、寝不足に関してはテグンだって同じなはずなのに。
それなのに、こうやって気遣いを向けて来るなんて…少し、見方が変わる。
メンバーの為にも怒っていたし、こいつは優しくて良い奴、なんだろう。

小声で交わされた言葉がマイクに拾われているかは解らないけど、ありがとうの意味も込めて手は離さないでいた。

繋いだままショッピングセンターの中に入り、いろいろなものを物色する。
へぇ、いろいろなものがあるもんなんだね。

物色していると、ひとつのものに目が止まる。
あれは…でっかいハムスターのぬいぐるみ。
しかももふもふしていて…気持ち良さそうだ。

歩いている途中で立ち止まったから、テグンは僕に引かれるように立ち止まる。
そして不思議そうにしながら僕を見たけど、視線を辿ったら解ったらしい。



「これ欲しい。」

「だめ。」

「これ欲しい。」

「だめ。」

「ハムちゃん欲しい。」

「…だめ。」



伝わってくれたのなら、と言うことでテグンに欲しいと言ってみる。
どうせ番組が出すから良いだろう、と僕は思うのに、テグンは駄目の一点張り。

流石に僕の自己判断じゃ買えないから、と思って許可を取っているのに。
テグンはずっと無表情のまま、駄目、と言う。

あえていつもは言わない、ハムちゃん、呼びをしてもテグンは一瞬固まるだけだし。
欲しかったな、あのハムスターのぬいぐるみ。



「…ハムスター。」

「だめ。」



場所を変えても、僕の心に残るのはあのハムスターのぬいぐるみだけ。
小物なんかを見ても、それしか意識にない。

不意をついてハムスターと言っても、テグンは駄目だと言う。
次々とウギョルハウスに置くものを選んで決まっているのに、それらを選んでいるのはだいたいがテグン。

ある程度決まって帰ろうとして、またしてもあのぬいぐるみに目が向かう。
今度プライベートで来て買おうかな。
置く場所が無くなったぬいぐるみは、ジュンヒョンの家にでも置いとけば良いし。



「テグン、あれ欲しい。」

「………はぁ。」



だけどダメ押しでテグンに欲しいと言えば、テグンは諦めたように溜息を零してそのぬいぐるみに向かって歩き出した。
もちろん、手を繋いでいるから僕も一緒に。

テグンはぬいぐるみをジッと見つめ、そしてしばらくしたあと頭を掴み上げる。
ぬいぐるみを掴み上げたあとは、テグンは黙ってそれを僕に手渡した。

僕の腕にあるぬいぐるみは、予想よりも肌触りが良くてすごく気持ちが良い。
それに顔を埋めていると、行くぞと言わんばかりにテグンから手を引っ張られた。

ハムスターのぬいぐるみ、ゲット。



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