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今回のウギョルの撮影は、待ち合わせ式にするらしい(めんどくさいな…)。
指定された場所に先に着いたのは僕で、テグンの姿はまだどこにもなかった。

揃ってから収録を始めれば良いものを、どうしてこんな面倒なことをしたんだか…。
そもそも恋人同士じゃなく夫婦なのだから、待ち合わせをする必要はないはずだ。

まあ、スタッフ陣が決めたことだからとやかく言うつもりはないけれど。
もしこれを社長が決めていたら、僕は迷わず社長に直接文句を言っていたよね。



「っ、なまえっ。」

「…遅い。」

「前の仕事が遅れて…ごめん。」

「良いよ。許してあげる。」



座ったままカムバックの曲を頭の中で流していると、やっと旦那であるテグンが登場した。
テグンは息切れをしているから、多分準備が終わって急いで来たんだろう。

素直に謝るテグンを許すと、テグンはほんの僅かに表情を緩めた。
無表情だから解り辛いが、なんとなく解る。
だってこいつ…昔の僕に少し似ているんだ。

人と触れ合うことを苦手としているであろうテグンは、理由はどうであれ人を寄せ付けようとはしない僕と重なってしまう。
失礼なこと、なのかもしれないが。



「テグン、ほら、ミッションカード。」

「…"デートしましょう"だけ。」

「は?そんなアバウトなミッションあるの?」



テグンに差し出されたミッションカード。
それを読むように遠回しに言えば、テグンは読み上げたのだけど…。

デートしましょう、だけだって?
そんなアバウト極まりないミッション、こんな番組であってたまるか。

テグンからミッションカードを奪って内容を見てみると、確かにテグンが言うようにその文字しかカードには書かれていなかった。
いくらなんでも、これは雑過ぎるだろう。

眉間に寄る皺なんて気にせずにスタッフの方を睨むように見ると、スタッフ陣は慌ててカンペを出してきた。



「…なるほど。今日これからのプランは、僕たちが考えるわけだ。」

「…行きたいところ、あるか?」

「急にそう言われてもね…。………とくには思い浮かばない。」



どうやらデートプランは自分たちで考えなければならないらしく、それを言えば行きたいところはあるのかと訊かれた。
だけどもともとインドアな僕だし、アウトドアはヨソプやギグァンの専門なんだ。
あのふたりに連れて行かれなければ、僕はだいたい自宅に引きこもっている。

どうするか、と考えたとき、この前偶然観た誰かのウギョル(多分)を思い出した。
そうだ、あそこに行けば良い。



「テグン、キミたちの宿舎に行きたい。」

「………俺たちの?」

「うん。僕はもう宿舎暮らししてないし、他のグループの宿舎の生活も見てみたいんだ。」



結果インドアということは触れないでほしい。

僕たちBEASTは宿舎暮らしをやめた。
やめた、と言っても残ってる人が大半で僕とヨソプとジュンヒョン以外は宿舎のまま。

BEASTの宿舎に僕の部屋はもうないし、立ち寄ることもほとんどないから久しぶりに他人のでも良いから見てみたいと思った。
今さらBEASTの宿舎に行くのは…なんとなく気恥ずかしい気がする。

僕の提案でVIXXの宿舎に行くことになった。
そしてまたしても運転を任される。
この前から僕、運転しすぎじゃない?



「テグンはデビューして何年目なの?ああ…馬鹿たちと一緒なら、2年目か。」

「馬鹿たち?」

「うん。BTOB。あいつらは僕を見ると餌くれ餌くれと迫ってくる馬鹿集団だよ。」



車の中で話しているのは、些細な会話。
宿舎の広さは年数でも変わっていく。

僕たちが新人の頃と言えば、食べるためのスペースもなくベッドで食事を摂ったり、今考えるとあり得ないし危ないが、ドンウンと一緒に狭い二段ベッドで寝たりしていた。
あいつと一緒だった頃は…ベッドが足りないとき、一緒に寝ていたっけ。

次に移動したところだって僕のベッドは無かったし、ドンウンと一緒で。
食べるところは出来たにしろ、その頃もずっと喧嘩ばかりしていたっけな。
女が居るのにどうして汚いんだ、とマネージャーとばかり言い合っていたけど。



「ここ。」

「ん?ここかい?」



テグンの道案内でVIXXの宿舎に到着する。
到着した宿舎は僕の予想よりもはるかに広くて綺麗で、外観で驚かされた。

デビュー2年目となればこのくらい…なのか、もしくは最初からこのままなのか。
でも僕たちBEASTの最初の宿舎よりも広いのは目に見えて解った。
最近はこんなものなのか…ズルい。

テグンの案内で中に入り宿舎の入り口に立つ。
玄関の入り口の鍵は持っていなかったのか、チャイムを鳴らすテグン。
中からドタドタと足音がして、扉が開いた。



「おかえりテグナ。ウギョルの収録終わるの、早かっ…え?」

「やあ。こんにちは。」

「…仕事はまだ、終わってない。」



テグンを向かえ出たのは、VIXXのリーダーひとり(名前が解らない…誰だっけ)。
リーダーは僕とカメラを見るなり目を丸くし、その場に固まってしまった。

ふと視線を下げると、見えるのはあたり一面に散らばった大量の靴。
ああ、昔BEASTもこんな感じだったな…(今もそうかもしれないけど)。

リーダーの後ろからドタバタと音が聞こえてくるから、多分他のメンバーがウギョルで僕たちが来たのだと解ったんだろう。

BEASTと宿舎住まいしていたからこそ解る。
多分そこまで片付けられないし綺麗ではない。



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