03 ( 3 / 5 )
「なんでだよ!!」
「………………。」
番組スタッフに指示され、あらかじめ設定されていたカーナビ通りに運転して着いたのは…。
なんと、一番初めに来たスカイツリー。
暗いから朝と違う景色も楽しんでください、とカンペに書いているけど、僕はもうスカイツリーには登りたくもない。
嫌だ嫌だと抗議をしていると、手渡されたひとつのミッションカード。
今回の収録では初めてのミッションカードだ。
「…"夜景を見ながら食事をしましょう"?」
そのカードに書かれていたのは、スカイツリーに登れとかそんなものではない。
夜景を見ながら食事をしましょう、という、ごく普通のもの。
イマイチ理解は出来なかったが、まあ食事が出来るならなんでも良い。
スタッフに案内されるがままついて行き、食事を摂るレストランへ来た。
窓から見える景色はとても綺麗で、なかなか良い雰囲気は出ている。
だけど、こう…別にここじゃなくても良かったんじゃないだろうか。
「なまえ。」
「なんだい?テグン。」
レストランは貸し切りで食事は既にスタッフが頼んでいるらしく、僕たちはそれを待つだけ。
まるで最初のときと同じみたいだな、と思いながら肩肘ついて外の景色を眺めていると、不意にテグンから名前を呼ばれた。
呼ばれたからテグンに視線を向けたのだが…テグンの視線は定まっていない。
どこか挙動不審な動きをしながらも覚悟が決まったのかなんなのか、真面目な顔をして僕のことをまっすぐ見つめてきた。
「"一生側にいるよ キミを愛しているんだ"」
突然のことに固まる僕。
テグンが歌い出したのは、この僕でも知っている曲…super juniorのMerry U。
テグンの綺麗な歌声がレストランに響いて、とても幻想的だと思った。
なるほど、これはここを貸し切りにでもしないと無理だよね。
そんな現実的なことを思いながら、目を閉じてテグンの歌に聴き入る。
テグンの歌は、それこそBEASTのメインヴォーカルであるヨソプにも引けを取らなかった。
「"僕と結婚してくれる?"………なまえ、俺と結婚…してください。」
「ふは。こんなに照れ臭い告白、初めてだ。」
歌い出しは最後の最後だったらしく、ラップをすっ飛ばして最後のフレーズを歌ったあと、テグンはプロポーズをして来た。
後にも先にも、こんな照れ臭くて小っ恥ずかしい告白、初めて受けたよ。
照れ隠しとしてクスクス笑いながらそれを言ってみれば、テグンは拗ねたように軽く口を尖らせて顔を逸らした。
耳まで赤くなっているし、テグンは相当恥ずかしかったんだろう。
例え番組から指示されたものだとは言え、僕のためにと恥を忍んで歌ってくれたことが嬉しくて。
テグンを見つめていると、思わず頬が緩んだ。
「もちろん。僕はキミと結婚するよ。むしろ、こんな僕で良いのかと訊きたいね。僕にテグンはもったいないくらいだよ。」
率直な、可愛らしいプロポーズ。
ウギョルとは夫婦として始まるはずなのに、まさか改めてこうしてプロポーズをされるとは思ってもみなかったけど…。
プロポーズとは、良いものかもしれない。
真っ赤に染まったテグンの首から上。
僕もなんだか熱いから、きっと照れで赤くなってはいるんだろう。
受けてるこっちが恥ずかしいし、現実でされると殴り飛ばしたくなるような恥ずかしいプロポーズだけど、テグンが必死だったからこそそれを受け入れることが出来た。
これがもし番組じゃなかったら、僕の反応はどうなっていたのかな。
それは解らないけど、この胸に感じる温かさはきっと…、喜びなんだろう。
胸がポカポカと、温かい。
prev next