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今日はウギョルハウスで撮影するらしい。
来客があると訊いたんだけど…なんでだろう、嫌な予感しかしないんだ。
「…ねぇテグン。今日誰か来るんだよね?」
「ん。」
「僕、嫌な予感しかしないんだけど。」
「…確かに。」
嫌な予感を抱きつつ、来客を待つこと数十分。
来客を知らせるチャイムが鳴った。
最初はテグンに行くように言ったけど、テグンもテグンで嫌な予感はするらしい。
だからなのか頑なに拒否されたので、結果じゃんけんに負けた僕が迎え出ることにした。
嫌な予感が当たりませんように。
そう願いながらドアを開けると、僕の予想とは違った人物たちが立っていた。
…これは、テグンの予想が当たりかな?
「ミンス先輩!お久しぶりです!」
「キミたち、この番組に出過ぎじゃない?」
「…はぁ。」
「なんだ、テグン。結局来たんだね。」
僕が出迎えたのはVIXXのメンバー。
なんだかんだでテグンも来客が気になったらしく、玄関まで来たらしい。
僕の頭よりも高い位置から、すこし高めの溜息が聞こえた。
取り敢えず、出迎えてしまったのだから追い返すわけにはいかない。
5人を迎え入れてそこらへんに座ると、きょろきょろと周りを見始めた。
おもしろいものなんてないと思うけど。
「あ!ハム五郎くんだ!」
「ミンス先輩ってネーミングセンス…あ、いえなんでもないです。」
「…さすがは馬鹿集団と仲良しなだけあるね。すごく生意気でムカつく。」
「褒めてます?」
「いや、あれは完全に貶してるでしょう。」
何を見ているんだか、と思っているとハム五郎を見付けたエンがハム五郎を抱き締めた。
僕のなんだから、香水の匂いはつけないでよ。
そのハム五郎を見ていると、ホンビンが名前のセンスについてセンスがどうと言い出した。
ネーミングセンスが無いのは昔からだから普段は気にしないが、なんとなく腹が立つ。
類は友を呼ぶ、とはよく言ったものだよね。
馬鹿集団(BTOB)にしろVIXXにしろ、慣れが生じると生意気になるらしい。
いつかこいつらも、僕を見たら食事をたかってくるようになるのだろうか。
「ほら、飲めば。」
「わあ!ありがとうございます!」
呆れながらも用意していた紅茶を出すと、末っ子のヒョギは喜んで紅茶に飛び付いた。
馬鹿集団の末っ子もこれくらい愛嬌があれば良いものを…ソンジェは口を開けば"ご飯連れてってくださいよー"としか言わない。
テグンとエンと、イメージ的にラヴィにはコーヒーを用意して一応砂糖とミルクも置く。
僕は最近飲みだしたブラックコーヒーにして、一息付くことにした。
「ミンス先輩って、意外と気配りタイプなんですね!良い奥さん!」
「…ねぇテグン。もしこれからVIXXの活動が行いにくくなったら、この弟を怨みなよ。」
「え!褒めたのに!」
「…頼むからやめてくれ。」
さっきから失礼なことを連発するVIXX。
と言うより、もはやホンビンだ。
ホンビンはきっと、思ったことを素直に言うタイプ…なんだろう、多分、きっと。
そう思わないと、ゲンコツでもかましそうだ。
だけどこういうタイプは嫌いじゃ無い。
よそよそしい態度よりも、フレンドリーな方がまだ気が楽だから。
変に気を遣われても、こっちが疲れるからね。
そう思うと…僕も昔より丸くなったと思う。
もちろん、性格が…だけど。
「はぁ…。もう、"先輩"って呼ぶのやめたら?言葉と敬意が見合ってないよ。」
「え、ヌナって呼んでも良いんですか?」
「うん。もうなんでも良い。」
「わあい!じゃあ僕はミンスって呼ぼう!」
「だめ。」
「なんでよテグナ!」
生意気な言葉を口にするわりには"先輩"と呼んでくるのが、なんとなく違和感に感じる。
だから気軽な呼び方をしてくれと、遠回しに言うとVIXXのメンバーは嬉しそうにしていた。
こんな反応…確か前に馬鹿集団や4minuteでも見たような気がするな。
歳上のエンは、僕を呼び捨てにして呼ぼうとしたが、それはテグンによって却下された。
なんでよー!、と騒ぐエンを無視して優雅にコーヒーを飲んでいるテグン。
騒がしいエンに慣れているんだね。
「あ、そうそう。ここに来たのはね、まあ餞別みたいなものを持って来たからなんだよ!」
「餞別?」
「煎餅?」
「…なまえ、それは違う。」
「そう…。」
そうだった、と言わんばかりに急にテンションが上がって話し出したエン。
エンが言うには餞別を持って来たらしい。
そう言えば、入って来るときに紙袋を持っていたような気がする…ヒョギが。
ヒョギからエンが例の紙袋を受け取り、テグンにポイと渡す。
テグンは受け取ってすぐに袋を開けたので、僕も覗き込むようにしてそれを見た。
これは…ハムスターのぬいぐるみ?
しかも僕が買ってもらったのと色違いだ。
「こうして並べたら、夫婦みたいでしょ?」
「…また増えた。」
「可愛いね。癒される。ありがとう。」
そのハムスターを取り出してハム五郎と並べ、満足そうに微笑むエン。
テグンはテグンで、それを見るなり呆れたように溜息を零した。
こんなに可愛いのに、失礼だよね。
良いもの選んだでしょ、と言わんばかりに胸を張っているエンに礼を言って、ふたつのぬいぐるみへと視線を戻す。
このハムスターにも名前、つけないとね。
「ミンスヌナ、名前付けてくださいよ!」
「…またバカにするつもりだろ?」
「しないですって!ねぇ!ホンビナ!」
「しないです!な、ラヴィ!」
「いや別に俺、バカにしてない。」
どうしようかなぁ、と思っていたとき、名前を付けるようにとケンから促される。
促して来るからまたバカにするつもりなのかと思って睨むと、ケンは慌てたようにホンビンへと話しを振り、それを受け取ったホンビンはラヴィへと話しを振った。
まあ、バカにされないのなら良いけど。
そう思って新しいハムスターの名前を考える。
エンは夫婦だと言うから、名前は女の子らしい名前にしたほうが良いだろう。
ハム五郎が男っぽい名前だからね。
だとすると…なにが良いんだろうか。
「………スー?」
「………え、なにゆえ?」
「いや…ハムスター、だから…すぅ。」
悩みに悩んだ結果、付いた名前は"スー"。
ハムスターの"ス"から取っている。
理由を言えば、笑いたそうにしているケンとホンビンとエンが視界に入った。
結局バカにするんじゃないか。
命名"スー"
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