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先週、僕はとうとうソロデビューを果たした。
このソロデビューのステージが終わると、またすぐにBEASTとしてカムバックが待っている。
よくもまあこんなにスケジュールやカムバックを詰め込んだものだな、と感心するが、今はそんなこと言っていられる場合ではない。
ウギョルにSHOW TIME、という番組収録。
そして今回のソロとカムバックが重なって、僕の疲労はピークに達していた。
別に、弱音を吐くつもりは一切ない。
こうしていくつもの仕事があることは有り難いことだし、忙しいのは当たり前のことだから。
まあ…睡眠時間が削られるのは痛いけどね。
SHOW TIMEなんて早朝が多いし、なおさら。
マネージャーに買って来てもらった栄養ドリンクを飲んで、髪型が崩れないようにと気を使いながらソファーに寝そべる。
そうこうしていると時間が来たみたいで、スタッフからステージ裏に行くように言われた。
ソロのステージは、未だに慣れない。
それは何故かと問われても答えに困るが、たぶん、今までひとりでステージに立つことがライブ以外ではなかったから。
「…なまえ。」
「ん…?は?テグン?どうしてここに?」
前のグループのステージを裏から見ていると、ふと話し掛けられる。
僕を本名で話し掛けてくる奴なんて数が絞られているし、この場に来そうな奴はマネージャーかメンバーだろうと思って振り返ったが。
なんとそこには、テグンが立っていた。
テグンがここに来ることなんて知らないし、もはやこんなところに来る理由が解らない。
「どういうことなの…」と必死に頭を抱えていると、テグンはカメラを指差した。
ああ、なるほど。
ウギョルの収録で来たんだね。
僕それ、訊いてなかったんだけど…どういうことなのかな、マネージャー。
「…がんばれ。ここで、見てるから。」
「ふは。テグンの監視付きか。なら絶対にミスは出来ないし、がんばらないといけないね。」
でもまあ、こういうサプライズ的なものも悪くはないかもしれない。
テグンを見て心が落ち着いた自分も居るから。
正直言って、順位なんかはどうでも良い。
ソロとして舞台に立つチャンスを与えてくれた社長と、バックダンサーやジュンヒョンたちに感謝しながら最高のパフォーマンスが出来たなら、僕はそれだけで充分…満足出来る。
前のグループが終わり、いよいよ僕の番。
テグンから貰った指輪はチェーンを通してネックレスにしているから、衣装で隠すように着けていたそれを取り出して握る。
よし、僕なら…大丈夫だ。
ステージに立ち、イントロが流れ出す。
ジュンヒョンに無理言って、KAT-TUNと似たテイストで作ってもらった曲。
ラップから始まり、それが終わって激しいダンスパートに変わった。
Beautyが持つ、BEASTのペンライト。
それで埋まる会場を見ていると、アドレナリンがどんどん出て来ている気分だ。
二週目だけど…やっぱり、ステージは楽しい。
曲が終わり、Beautyからの歓声が飛び交う。
ライブでもなんでもないけど、私物として着けていた洒落た柄のタオルを客席に投げて、僕はステージから捌けた。
「…なまえ、お疲れ。」
客席から見えないギリギリのところに立っていたテグンに、普段ドンウンにやっているのと同じように思い切り飛び付く。
テグンは驚いていたみたいだけど、僕は何も思わないくらい興奮していたらしい。
そしてそれは、客席にも見えていたようだ。
僕が飛び付いたと同時に、またワッと会場が沸き立ったのが耳に届いて来た。
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