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ウギョルの収録で、とあるカフェに来た僕。
テグンの姿はまだなく、どうやら道が混んでいるらしくて時間がかかるらしい。
取り敢えず、用意されたカプチーノを飲む。
甘く苦いカプチーノは、なんとなく…僕の心を表しているようだった。
今はゆっくりする時間。
少し考えごとをしても大丈夫だろう。
人見知りで、無愛想で、無口で、無表情。
極め付けにはカメラも苦手らしいテグンは、アイドルに向いているとは思えない。
それはまあ、ジン兄にも言えること…だけど。
そんなテグンに、カメラの前では旦那を演じるように、と注意したのは僕。
演じるようにと言ったのにも関わらず、テグンのらしくないスキンシップに心が揺れてしまっていることに間違いはなくて。
この感情はウギョルによる錯覚だ、と自分に言い聞かせているが…どうも、スッキリしない。
それは僕が錯覚にしたくないからなのかは解らないけど、でも確かに、錯覚では終わらせたくないと思っている自分も居る…と思う。
テグンがどう思っているかは解らない。
僕だってもう、昔みたいに恋愛で傷付くことは嫌なのに…気持ちは消えてくれなくて。
「(傷付く準備なんて、無理だよ。)」
ふと脳裏をよぎった、テグンが所属するVIXXが出した曲…傷付く準備は出来ている。
別にとやかく言うつもりはないが、傷付いた過去がある僕にはそんな準備、したくなかった。
傷付くのだと解っているのなら…。
それを未然に防ぐのも、ひとつの策。
防いだ方が賢いと言えるだろう。
なんだかんだで、いつも身に付けてしまっているテグンから貰った指輪。
これだって番組で用意されたものなのに、どうしてか番組だけではなく常に身に付けていて。
僕は…いや、言葉が解らない。
なんて言えば良い?
この感情は、他になんて言い表したら僕自身は満足するんだ?
自分の行動も言葉に表せず、感情だって言い表すことが出来ない。
「レオさん入りまーす。」
「…テグン。」
「遅くなった…ごめん。」
ひとりで考えごとに没頭していたら、テグンもこの場に到着したらしい。
スタッフの声でようやく意識が戻り、到着したらしいテグンの姿を目に写す。
ヘアスタイルは寝起きスタイルではなく、ちゃんと整えているから整えてもらったんだろう。
だけど必要最低限のメイクしかされていないテグンを見ると、スタイリストも時間のせいで慌てていたことが理解出来た。
まあ、こんな早く(と言っても朝の10時)に呼ばれたっていうことは、1日使うスケジュールになっているんだろう。
だから押してしまうのは痛いと思って、番組スタッフから急かされたに違いない。
「着いて早速だけどミッションカードだね。」
「…読む?」
「テグンが読みなよ。」
テグンがカフェの椅子に座り、コーヒーが出て来たと思ったらミッションカードが渡された。
いくらなんでも急かし過ぎじゃないだろうか、と思ったけど、まあ仕方ない。
テグンに渡されたミッションカード。
ミッションカードだね、と言えば読むかと訊かれたけど、テグンに読んでもらう。
渡されたのは僕じゃないし。
「…"お互いにしたいことをしましょう"ってカードに書いてある…。」
「つまり、またノープラン?この前もそうだったけど、今回もノープランなんて随分と手抜きなことをするんだね。」
テグンが読み上げたのは、お互いにしたいことをしましょう、というもの。
つまりはこの前の、ノープランデートと然程変わらないってことでしょ。
手抜き多くないかな。
それにしても、お互いがしたいこと、ね…。
そう言われても僕、特別やりたいことなんて思い浮かばないんだけど。
どうしようか。
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