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やりたいこと、と言われても。
そんなものすぐに思い浮かんだりはしない。
この番組はウギョルという仮想結婚を売りにしている番組、だから…。
ああ、それを考慮して考えてみても、何も思い浮かんだりはしない。
これだからノープランは嫌いなんだ。
用意されたカプチーノは飲みきったし、そろそろ行かなきゃいけないんだろう。
だけど思い浮かばないし…どうしようか。
「…何がやりたい?」
「んー…。ああ、そうだ。この前出来たパンケーキ屋に行ってみたい。」
「わかった。」
がんばって考えた結果、浮かんで来たのはこの前テレビで見たパンケーキ屋。
可愛らしい食べ物、と言うよりも普通に食べることが好きな僕はあまり惹かれるものを感じなかったが、この際なんでも良い。
パンケーキ屋の特徴、それからなんのテレビに映っていたかを思い出しながら伝え、調べてもらってその場所へと向かう。
今日も僕の運転だと言うことは、もう言わずとも伝わることだと思っている。
「なまえも、パンケーキなんてかわいいもの…食べるんだな。」
「それ、失礼だって解ってる?」
運転中、ふとテグンから投げ掛けられた言葉はそれだった。
確かに僕はかわいいものを食べたりすることは少ないし、見た目とも違うけど、だからって失礼じゃないだろうか。
信号で止まると同時に、横に座っているテグンを頭を軽く小突いてやれば、テグンはほんの少し微笑みを浮かべた。
僅かな表情の変化もよく判別出来るようになったな、と自分でも驚く。
いや、テグンが前よりも表情を露わにするようになっただけ、なのか…。
それは解らないが、以前よりもテグンの表情が変化するようになったとは思う。
初めの頃なんてただの無表情な奴だったし、こんな変化すらなかった気がするから。
「…思ったよりかわいらしい外観、だね。」
「ん。」
到着したのは、思っていたよりもかわいらしい外観なパンケーキ屋。
こんな店だったかな、と思いつつ中に入ると、中は見覚えのある景色だった。
確かに、ここで間違いはなさそう。
案内された席に座り、メニューを受け取ってから頼むものを吟味する。
甘いものが苦手なわけではないけど、あまりにも甘過ぎたり生クリームが多いのは苦手だからちゃんと選ばなければ自滅するだけ。
「…全部甘そう。」
「…甘いの苦手?なのに来たのか…。」
「苦手じゃないよ。でも、生クリームが多いのは苦手かもしれない。気持ち悪くなる。」
「なら、コーヒー飲めば?コーヒーなら生クリームも合うから入れたら良い。」
「なるほど。」
どうするかと悩んでいると、テグンに甘いものが苦手なのかと問われる。
だから生クリームが多いのは苦手だと素直に言うと、テグンはアドバイスしてくれた。
へぇ、さすがはコーヒー中毒者。
コーヒーに合うものは知っているんだね。
結果、僕が選んだのはだいすきなイチゴがふんだんに使われているパンケーキ。
クリームは多そうだったけど、さっきのテグンのアドバイスを活かせば大丈夫そうだ。
テグンはコーヒーを…僕はイチゴのパンケーキを頼んで、届くのを待つ。
前まではこの沈黙は放送事故としか思えなくて腹が立っていたけど、慣れたものなのか今ではこの沈黙もあまり気にならない。
「…次、どこに行きたい?」
「次ねぇ…。」
パンケーキを食べたあとのことは、さっきと変わらずノープラン。
どうするかと問われても、僕の頭にはもう何も浮かんで来てはくれない。
暇なときは家で過ごす僕からしてみたら、アウトドアなことを考えるのは難しかった。
でもまあ、なんでも良いか。
テグンが居ればなんでも良いし、番組としても成り立つのだから一石二鳥。
それに何より…僕が満足出来るのであれば、それで良いと思った。
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