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今日のミッションは、特にこれといったものはないらしい(カンペに書いてた)。
普通に会話してください、とだけ伝えられ、何を話そうかと迷った末に出た結論。
お互いのメンバーについて話すことにした。
「テグン、VIXXはどんなグループなの?」
「VIXX…。」
僕から話題を振れば、少し考え込むテグン。
メンバーのこと、となれば話しのネタがないなんてことにはならないだろうし。
まあ、大丈夫だろう。
「VIXXは…エニが煩いし、スキンシップが激しいし、世話焼き。だけど俺も…、こいつだから今でも活動出来てると思う。」
「テグンはエンのこと大切に思ってるんだ。」
「ん…。」
話しを訊いて思ったのは、テグンはエンを大切に思っている…それこそ、僕で言うならばドンウンのように、大切だと思っているんだろう。
暗闇に塞ぎこもっていた僕を光に出してくれたドンウンのように、もしかしたらテグンも…エンから幾度となく救われたのかもしれない。
僕とテグンは、似ているのかな。
過去が複雑そうなところがまた…似ている。
エンから始まり、他のメンバーについても話し終わったテグン。
誰のことを訊いてもやはり、テグンはメンバーがなんだかんだ言いつつ好きなんだと思った。
まあ、ケンに至っては本気で迷惑そうな表情も浮かべていたけどね。
テグンが終われば、次は僕の番。
ゆっくりと口を開いて、僕は自分が思うままに言葉を連ねていった。
「リーダーのドゥジュンは、何をしても決まらないし冷たいように見える。でも、あいつのおかげで僕自身が救われたことだってあるし、あいつがBEASTのリーダーで良かったと思えるくらい僕はあいつのことを心から信頼してる。」
「…喧嘩、とかは?」
「したよ。元々、性格が合わないからね。」
ドゥジュンは、最初こそは誰よりも多く衝突することがあった。
あいつは見た目通りのクールさだってあるし、曲がったことが許せないストレートな性格もまた僕と異なりあって、今までに何度も衝突して喧嘩したことがある。
でも、デビューしたとき…。
僕は、ドゥジュンのばかみたいなジョークに心を落ち着かされた。
今思ってもくだらないし、前もくだらないと思っていたけど、あいつのおかげで自分を傷付けることもなく、自分自身を保てた。
だから今は…感謝も、してる。
「ヒョンスンは見ての通り四次元だし、不思議な行動も多いけど…でも、僕のことをよく見てるなって解るくらい気を遣ってくれるし、側にいて落ち着く。嫌なことがあれば親身になって訊いてくれるから、まあ…言うなれば韓国でのオッパみたいなものだね。」
「ああ…この前の…。」
「そう、ジン兄のことだよ。」
四次元人間ヒョンスンは、いつも僕のことを見てくれていた。
あの黒歴史でもあるFICTIONのときに心配してくれて、代わりになれるのなら代わりたいとまで言ってくれるような人間。
それこそ、ヒョンスンはジン兄のようだった。
メインのポジションはもらっているけど、ヒョンスンに劣ると思ってしまう僕のダンス。
韓国での目標はヒョンスンでもあるから、なおさらジン兄のような気がしてならなかった。
「ジュニョンは取り敢えず、身体のラインの維持が出来るようになった方が良いような体型。作詞作曲ばかりだし、宿舎のときはかなり煩かったけど…居ないと静かで物足りないと、なんでか思ってしまうような存在かな。」
「………体型…。」
「テグンは気にしなくて良いでしょ。」
新曲作成が終わるとすぐ、ジュンヒョンは次のアルバムに向けて作詞作曲を始める。
ばかみたいに真面目なときは真面目だし、そしてふざけるときはふざけるような男。
ある意味では1番器用なのかもしれない。
ガールズのダンスを踊るときだってジュンヒョンは楽しそうに踊るし、その反面、僕は恥ずかしさに襲われてまともに踊れないから。
クールぶってるくせに僕よりもクールじゃないよな、なんて思う。
だけどそんなジュンヒョンが、たまに…。
本当たまーに、羨ましかった。
「ヨソプは…歌が苦手な僕に、歌を教えてくれた。最初はドゥジュンみたいに衝突することもあったけど、面倒見も良いしあざとい。もう一回言うけど、ヨソプはかなりあざとい。でもまあ…それがヨソプの良いところなんだけど。」
「…歌、苦手だったか?」
「…認めたくないけど。上手くは、ない。」
ヨソプという人間は、末っ子でもないのに"あざとかわいい"という部類の人間だった。
たまに愛嬌を振りまくことを苦手としていた僕に、ヨソプなりの愛嬌を教えてくれたけど…。
まあ、ヨソプだからこそ似合うこと。
歳上らしくしっかり叱ってくることは叱ってくるけど、たまに見せる末っ子らしさには僕もドンウンも…他のメンバーも頭を抱えるほど。
かわいいのだと自覚してやっているのだから、なおさらタチが悪い。
でも確かに、ヨソプのそのあざとかわいい部分に救われている部分はたくさんある。
僕がこんな風だからこそ、ヨソプのおかげで番組が成り立つこともあるし、スタッフやスポンサーからも嫌がられたりはしない。
長所と言えば長所…なのかな。
「ギグァンはドンウナ以外で誰よりも先に接してくれた人。いつも笑顔だしたまに天然だしでかわいい。なんだかんだ言っても、僕はギグァンが嫌いじゃないし癒されてる。いつも反応が面白いから、からかうのも好きだけどね。」
「VIXXで言うケニみたい…だな。」
「確かにそうかもね。ケンっぽいかも。」
誰も近寄らなかった、練習生時代の…昔の僕。
口を開けば刺々しい言葉ばかりを連ね、まったく人を寄せ付けなかったのに。
ギグァンはそんなもの一切気にせず近寄った。
最初の頃は、ギグァンは苦手で。
理由は特になく、しいて言うのであれば…デビューでの嫉妬、だろう。
メインダンサーは僕なのに、僕よりもメインのように踊るギグァンが面白くなかった。
まあ、すぐにそんな嫉妬も消えたんだけどね。
「最後に、ドンウナ…。ドンウナは一生僕の親友だと思える人。1番最初に親しくなって、気が付いたら酸素みたいな存在になっていた。たぶん僕はドンウナが居なければデビューしていなかっただろうし、今でもずっと人付き合いを苦手にしてると思う。今の僕があるのは…そんなお人好しなドンウナのおかげ、なのかな。」
「ドンウンは…特別な、人?」
「特別と言えば特別、なのかな。ドンウナは友だちとして大切な大切な存在、かもね。」
ドンウンは性別は違えど、お互いにとって特別な存在…だと思う。
少なくとも僕は、そう思っているよ。
元からつんけんしていた性格もあるし、それに言語が不自由なことと人見知りが重なって事務所で浮いていた練習生の頃。
ドンウンは、自分から話し掛けてきた。
−−−友だちになりたい。
そう言ってもらえたのは、初めてだった。
それが嬉しくて、でも気持ちはなんとなく…複雑なものもあったけど。
でも今は、ドンウンのおかげでひとりぼっちではなくなっている。
つまりドンウンは、テグンで言うエン。
酸素のように必要不可欠な存在のドンウンは、僕からしてみたら大切なものだった。
結局のところ、僕にはもう、BEASTという存在ごとまとめて必要不可欠らしい。
こんなに話したのは…いつぶり、だろうね。
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