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暇だ。



「テグン、僕に黙ってたことがあるよね?」

「………は?」



今日は…いや、今日もウギョルの収録。
最近スタッフは手を抜いているのか、どうも適当な場面が多々見られる。

今日だってそうだ。
特に何かをすることもなく、ただひたすらボーッとしているのは面白くない。
それに、絵面的にも面白くないだろう。

だから、なんとなく暇潰しをすることにした。



「ねぇテグン。黙ってたこと、あるでしょ?」

「いや、ない。…どうした?」

「ハッキリ言わないなら、僕はこの家から出て行くよ。ちゃんと言って。」

「……?」



目の前のテグンは、僕の言い掛かりに対してたくさんのハテナを浮かべている。

黙ってたこと、なんてないだろう。
だってこれは仮想の番組であり、例えテグンが本来の夫婦であれば話さなければならないことがあったとしても、関係のないこと。

まあ、つまり、簡単に言うと…。
テグンは僕の暇潰しに知らず識らずで付き合わされている、ということなんだ。
自分で言うのもなんだけど、テグンが可哀想。



「ねぇ。言ってよテグン。」

「だから別に、黙ってたことは…。」



僕の問いにしどろもどろになるテグン。
きっと何か心当たりでも探しているんだろう。
探すのは勝手だけど、別に何もないよ。

この家から出て行く、とまで言えばテグンだってただごとではないと思ったんだろう。
だから必死になって何かを考えているテグンはテグンらしくなくて、見ていて愉快だ。

この男をここまで慌てさせることが出来るのは僕だけなのかもしれない、と思ったら、変な優越感が感情として現れる。
…でもまあ、そろそろ可哀想だから、ネタバレでもしてあげようかな。



「っていう在り来たりな夫婦の会話を思い付いたんだけど、どう?」

「……………は?」

「暇だから遊んでみた。ごめんね。」



あくまでもジョークに聞こえるように。
軽くネタバレをすると、テグンは無表情のまま僕を見つめてくる。
それを流して軽い態度で謝ると、力こそは込められていないが、テグンに腕を殴られた。

ちょっとずつテグンたちVIXXの動画とかも観るように心掛けていたけど…。
テグンって本当に、手が出るのが早いんだね。
そんな暴力的なところは、なんとなく兄のグループのメンバーを彷彿とさせた。



「……ごめんって。」

「………。」



だけど、予想外なことが起きた。
それはテグンが拗ねてしまったこと。

まさかこれだけで拗ねられるとは思っていなかったから、今度は僕が焦ってしまう。
ウギョルはまだ始まったばかりだと言うのに、これからもずっと不機嫌なままだと僕的にも番組的にも辛いものがある。

これは僕が悪いから不機嫌でいるテグンを説教なんて出来ないし、どちらかと言えばご機嫌取りをしなくてはならない立場。
ああ、テグンがこんなにも面倒な人間だったとは思わなかったよ。
…やるんじゃなかった。



「…ごめん。機嫌なおしてよ。」



ご機嫌取り、なんてしたことがない僕。
ご機嫌取りをされることはあっても、僕が他人の機嫌を取るなんてことするわけがなく。
何をしたら良いのかも解らなかったから、取り敢えずテグンの好きなコーヒーをお揃いのカップに淹れて持っていった。

こんなものでテグンの機嫌が良くなるとはさすがに思ってもいないけど、何もしないよりは些かマシだろう。
コトン、とテーブルに置くと、テグンはチラリとコーヒーを見て僕の顔を見た。



「…もうしない?」

「しない(面倒だし)。」

「じゃあ許す。」



まさかコーヒーで釣れるとは思っていなかったけど、コーヒーで機嫌がなおったのだろうか?
それは解らないが、もうしないとテグンと口約束をして、テグンの機嫌はなおる。

またテグンの機嫌取りをしなきゃいけない、と思ったら面倒だし。
約束は出来ないけど、まあ、もうしばらくはこういう修羅場ネタはやめておこう。



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