01 ( 1 / 4 )




…疑問すぎる。



早朝からマネージャーに叩き起こされ、まともな睡眠も与えられず車に乗せられてあれよあれよと空港に到着したのは数時間前。
そしてなんの説明もなく飛行機に乗せられ、さらに到着したのは日本だった。

日本で仕事なんか、あったかな。
BEASTの奴らが一緒じゃないってことは、僕だけが関わる仕事なんだろう。
じゃなきゃマネージャーが起こしには来ない。

しばらく空港でボーッとしていると、眠気まなこなテグンも到着した。
なるほど、今日はウギョルということか。

いや、でもどうして日本に居るの。



「話がまったく見えない。」



100歩譲って、日本に来たのは良しとする。
けれどなんの目的があってここに来たのか皆目見当もつかないし、説明もされていない。
どういうことだ。



「テグン、何か聞いてる?」

「いや…何も聞いてない。」

「テグンも何も聞いてないのか…。」



最後の望みで、僕よりも遅れて到着したテグンに何か聞いてないかと尋ねてみても、テグンでさえも何も聞かされていないらしい。
今さらどうこう言うつもりはないけど、どうするのか早く教えてくれ。
話しが見えなさすぎる。

空港に置かれたソファーに座っていると、ようやく投げ渡されたミッションカード。
それにはさすがに目的が書いてるだろうと思って読んでみたら、いろんな意味で驚かされた。



「結婚100日記念をお祝いして、日本でデートしましょう…だって?」

「100日?」

「へー…もう100日経ったんだ。」



ウギョルの収録自体、そこまで多いものじゃなかったからか、話数だってそこまでない。
けれど日にちは経っているから、テグンとのウギョルも100日を経過していたようだ。

本当、なんと言うか…。
韓国ってそういう記念日、好きだよね。
日本の何ヵ月記念日とかいうのよりもマシか。
そう考えると、人間って記念日好きだね。



「またカード…。」

「テグン読んで。」

「…今から車に乗ってこの住所まで行ってください、だって。」

「また運転するの?僕、都内は混むから運転するの嫌なんだけど…。」



どうやら、またしても僕の運転で移動らしい。
もともと帰省したとき用に取得していた国際免許が、こんなところで乱用されるなんて。
こんなことなら、国際免許を持ってるなんてマネージャーに教えなきゃ良かった。

どのみち抗ったところで、ウギョルの収録が終わったり運転手が変わることもない。
文句を言うだけ言って、用意されている車に乗るために駐車場へ向かった。



「…最悪。」

「?」



駐車場へ到着し、車に乗ってからミッションカードに書かれていた住所を入力する。
入力し終えて見えた地図にあったのは、人混みが嫌いな僕にはまったく嬉しくない場所。

こう言えば解るかな。
ネズミモチーフのキャラクターがメインの、某夢の国の海の方。

面倒な気持ちはあるけれど、まあ、今日は平日ど真ん中だし…まだ良い方か。
土日祝日だったなら、僕は黙って目的地も全部変えてやるけどね。



「なまえ、解る?」

「ああ、うん…解るよ。書いてある。」

「…でぃ…あ。これ、読み上げて良いのか?」

「たぶんピーって音入るよ。」

「じゃあ読み上げない。」



テグンが目的地を読み上げるのをやめたところで、そこを目的地に設定する。
カーナビの案内に沿って車を発進させた。

今思うと、本当に、放送当初よりもテグンがよく話すようになったと思う。
それは人見知りが無くなったからなのか、テレビに慣れたからなのか、仲間のお陰なのか…。
それは解らないけど、良い成長だと思う。



「…人、少なくない。」

「人混み、嫌い?」

「大嫌いだよ。ぶつかるし。」



車を走らせること、約2時間。
目的地に到着した。

陽気な音楽とともに見えるのは、入り口でごった返す人の集団。
この中に並ぶって言うの?

この中で並んで待つなんて絶対に嫌だ、と思っているとスタッフに手渡された、僕とテグンふたり分のフリーパスポート。
準備してたなら早く言ってよね…。
無駄に心配したじゃないか…。



「…まあ、そうだよね。」

「人、多いな…。」



中に入ると、パスポート購入待ちの列よりもはるかに多い人混み。
思わず引き攣る顔は許してほしい。

まったく、どうして。
なんでよりによって日本の、こんな人の多い場所で100日を祝わないといけないんだ。
レストランで言えば、確かに雰囲気とかは良いのかもしれないけど…。

この異様なまでの人混みで、僕のテンションが当然上がるはずもなく。
自分で言うのもどうかと思うけど、こんな始まりで幸先不安だよ…。



prev next


ALICE+