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この流れは、お決まりなのだろうか。



「おはよう、なまえ。」

「ふあ…。おはよ。」

「…眠い?」

「まあまあ、ね。」



今日も今日とて、収録開始からウギョルハウスに集められた僕とテグン。
またしても訪問者が訪れるらしい。
もうそんなの要らないってば…。

テグンはテグンで、もうVIXXがこの家に来ることはない、と踏んでいるのか落ち着いている…ことはなく、逆に落ち着かない。
可能性で言えば、BEASTが来る可能性の方が格段に高いもんね。
4minuteかBTOBの可能性もなきにしもあらずだけど、4minuteは4minuteでテグンは以前と変わらず緊張するだろうし。

この際、煩くなければなんでもいい。
なんなら急に仕事が入ったとかで誰も来なければ良いのに、とさえ思う。

そんな願いも虚しく、鳴らされるベル。
僕は当然行く気にもなれず、テグンに迎えに行くよう促した。



「ミンスー。来たよー。」

「…予想通り過ぎて腹が立つ。」

「ヤア!なんだよそれ!」

「ドゥジュナ、ミンスに何言っても無駄だってば。ミンスの性格知ってるじゃん。」



ウギョルハウスに訪れたのは、案の定僕の仲間であるBEAST。
しかも以前来ていなかった、ヨソプ、ヒョンスン、ドゥジュンの3人だ。

彼らの姿を見て、思わず眉間に皺が寄る。
それに対してドゥジュンは騒いでいるけれど、ヨソプがそれを止めに入った。
ヨソプは本当、僕のことが解ってる。



「テグン、こいつらは適当にあしらえば良いから。緊張しなくて良いよ。」

「いや、だめだろ…。」

「減らず口はその口か?」

「いひゃいな!!」



3人の後から入って来たテグンは、どこか緊張しているように見えた。
こんな奴らに気を遣って、それのせいで緊張することはない。
それを簡単に伝えると、テグンは気まずそうにしてドゥジュンは騒いだ。

おい、やめろ。
僕の頬を引っ張るな。
痛いだろ。



「テグン、僕、今日はしゃべらない。」

「…だめ。」

「ちゃんとミンスも話す!」

「はあ…。」



こいつらの相手をするのも疲れる。
僕とテグンが主役の番組だと言うのに、ベラベラと話すこいつらはなんなのか。
面倒だから「今日はしゃべらない」と言うとテグンだけじゃなく、ヨソプにも止められた。

仕方なくそれを受け入れ、半円を描くように座ることにした僕たち。
番組的にも僕とテグンは横になった方が良い、と思ってテグンの横に行こうとした瞬間、ヨソプとヒョンスンに挟まれる。
なんだ、この状況。

何度テグンの隣に行こうとしても、ヒョンスンからは「なんで離れるの」と言われ、ヨソプからは「おまえはオレの隣!」なんて言われてしまえば動くことも出来ない。
ちなみにドゥジュンはそれが余程面白かったのか、ゲラゲラと笑っている。

先に言っておこう。
僕はまったく面白くない。



「ミンスおまえ、カットされてるシーンでレオに迷惑掛けたりしてないよな?」

「4minuteと同じこと言うな。」

「レオ、ミンスが嫌になったらすぐ言って良いからね。オレたちがちゃんと世話するから。」

「ヨソプまで何言ってるの?」

「いや…。」



だから、どうして、こうなる?

こいつらもこいつらで、口を開けば僕のことではなく、テグンへの心配。
確かに僕は自分でも認めるくらい扱い辛い人間ではあるけれど、それはあくまでもプライベートでの話しなんだ。
別にカメラがある前でまで、そんなありのままの僕を晒したりはしない。

4minuteのお姉さんたちよろしく、テグンに話し掛けてばかりのヨソプとドゥジュン。
ちなみに、ヒョンスンはテーブルに置かれていたお菓子を食べるのに夢中になっている。

どいつもこいつも…。
僕の周りには、お節介な奴が多過ぎる。



「ミンス、これ食べて。」

「…なんで。」

「美味しいから。」

「………じゃあ貰う。」



未だに近所のお節介おばさんよろしくテグンに話しかけるドゥジュンとヨソプを見ていると、ヒョンスンからお菓子を向けられる。
「食べて」というのは「美味しくないから食べてくれ」という意味なのか。
もしくはいつも通り、自分がお気に召したから周りに配っているのか…。

それを確認すれば、ヒョンスンは綺麗に微笑みながら「美味しいから」と答えた。
それならまあ、貰っても良いかな。
前の餌と違って、これは番組が用意したちゃんとしたお菓子みたいだし。



「………なに。」

「食べさせてあげる。」

「………はあ。」



ヒョンスンが持つお菓子をひとつ受け取ろうとすると、手を避けられる。
それを何度か繰り返し、ヒョンスンの理解出来ない行動の意味を訊けば、ヒョンスンは「食べさせてあげる」と言った。

別に僕は、誰かに食べさせて貰うほど子どもではないし、不器用でもない。
だけどそれをヒョンスンに言ったところで通用しないことは目に見えているから、大きな溜息を零して諦めたように口を開ける。

と、そのとき。
ヒョンスンからお菓子を突っ込まれる瞬間、ひとつの視線を感じた。

その視線を辿れば、ぶつかったテグンの目。
テグンと目が合った瞬間目を逸らされたけど…嫉妬でもしているのだろうか。



「(………なるほどね。)」



あまり気にしなくて良いか、と思ってヒョンスンの方に視線を戻せば、にやにやと笑うヒョンスンと目が合った。
ついでにドゥジュンやヨソプも見てみると、ふたりは視線を逸らしたテグンを見て笑ってる。

「ああ、なるほど」と。
瞬時に理解することが出来た。

つまり、こいつらはテグンに妬かせたいわけ。
くだらないとは思うけど、まあテグンをからかうのは面白いし。
今回は目を瞑っておこうかな。



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