▼ 遭遇注意
ある日のこと。
BAPの宿舎に遊びに来ていたときに、昨日の出来事を不意に思い出した。
「ねぇデヒョナ。」
「なに?」
一応彼氏であるデヒョンに報告した方が良いかなー、と思って声を掛けてみるけど、デヒョンの視線は雑誌に向いたまま。
おい、彼女より雑誌を優先するなよ。
なに?、と相槌はくれるくせにこっちは見てくれないデヒョン。
まったく、冷たい彼氏だな。
「昨日不審者にあって乳揉まれた。」
「へー、よくそんな乳揉んだよな。」
「彼氏がよくそんなこと言えるわ。」
「なまえもよくそんな冷静に言えるな。」
昨日の出来事。
それは不審者にあって胸を揉まれた、という出来事だったりする。
ぬっと横に影が出来た瞬間、もしかして刺し殺されるのかな?、と思ったけど胸を触られただけだったから一安心。
いや、一安心なんてしちゃいけないんだけど。
普通なら"きゃあっ!"と可愛らしい悲鳴をあげるんだろうけど、お生憎様、わたしは可愛い生き物ではないのです。
つまりはまあ、普通に走り去るヤローをボーッと眺めていただけなんだよね。
いやあ、世の中物騒になったものだ。
いろいろと気を付けなきゃね。
「おっぱい触られてその反応って、触っても萎えるわ。可哀想な不審者。」
「わたしに可愛い反応を求める方が馬鹿よ。」
「言えてる。」
「そしておっぱい言うな。乳と言え。」
「変わんねーよ。」
触られてその反応って…、と呆れるデヒョン。
しかもこいつ、不審者を可哀想とか言ってる。
本当にわたしの彼氏なんだろうか。
なまえの絶壁に触ろうと思えるの俺以外にも居たんだ、殴って良いのか判断しかねること言うの止めてもらえるかな、じゃあ殴らなかったら良いじゃん、いや良く考えたら殴るべき言葉だったわ。
そんな会話をしていて気付いたけど、よく見たらデヒョン…雑誌のページ、さっきと全然変わっていない。
よくもまあ動揺もせずにローなテンションでいつも通りベラベラとよく回る口だこと、とある意味尊敬していたけど…。
なんだ、動揺はしてるみたいじゃない。
動揺かは解らないけど、冷静を保ったフリをして確実に気にはなっている。
素直じゃないしムカつくことばっかり言うから彼氏かどうか疑いそうになったけど、まあ反応を見るからに彼氏ではあるみたい。
良かった良かった。
「それで、相手の特徴は?」
「半袖半パンでキャップ被ってた。全身真っ黒で髪の毛の色は茶髪かな。」
「ふーん……。」
「気になる?わたしの乳揉んだっていうか触ったオトコのこと。」
「まったく。」
「………お前らどんな会話してんだよ。」
あくまでも冷静なのを突き通したいのか、わたしの方も見ないで不審者の特徴をこと細やかに訊いてくるデヒョン。
だから雑誌のページ、さっきと変わってないからバレバレなんだってば。
乳揉んだっていうか触ったオトコ気になる?、と訊いても、デヒョンははぐらかすだけ。
本当、素直じゃない彼氏を持つと大変だわ。
お前らどんな会話してんだよ、とヨングクお兄さんに突っ込まれたけど、取り敢えず無視。
と言うよりヨングクお兄さん、居たんだね。
純粋なジョンオプとかが訊いてなくて、本当に良かったわ。
そんなことより。
意外と怒っていて嫉妬しているデヒョンが可愛くて仕方がないんですけど。
わたしどうしたら良いですかね?
こんな可愛いデヒョン、久しぶりに見た。
こういう風に可愛いデヒョンが見られるんであったら、まあ一回くらいは勘弁してあげる。
(そう言う問題じゃないよね。by ヨンジェ)
遭遇注意
不審者に気を付けて。
(…アレかな。マネヒョン。)
(ん?)
(あいつ痴漢だから通報しといて。)
(は?いや、何人目だよ。)
(デヒョニ落ち着け。)
(気持ちは解りますけど落ち着いて下さい。)
(大好きかよ、なまえちゃん。)
(…そうでもないし。)
(よく言えたもんだわ。)
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