あとがき

「修理代を請求します」完結しました。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。


木兎光太郎という人間はまるで神様みたいだな、と思ったのが連載を始めるきっかけになりました。というとめちゃくちゃ重く感じますね?
神様といってもこう、崇拝するって感じではないんですけど、多分あの人は誰かの太陽になれるような存在だと思っています。
誰かの為に動けて、誰かの為に笑える。人を引っ張る才能に溢れている子供のような大人。きっと木兎さんは道しるべになれる。そんな思いを込めて書きました。

上記の要素を意識して書いたのは八話〜最後あたりですね。それまでは「どうすれば夢主との関係を悟られないか」ということに念頭をおいて書いていた気がします。
本当は三話あたりで早速バラしちゃうというルートもあったのですが、そうするとただ夢主がうだうだして話が進んじゃうので(そうしなくてもうだうだしてたのは言わない)、最後の最後でネタばらしという形をとりました。


わかりにくかったと思うので解説すると、木兎さんは高校卒業の時に夢主から告白を受けます。まさか告白されると思ってなかった木兎さんは驚きますが、そこで夢主は「脈なし」と早とちりして「忘れてください」って言っちゃうんですね。
木兎さんは真っ直ぐで純真なので、その「忘れる」を「告白」だけでなく「夢主全体」にしてしまうんです。そして夢主が忘れられる未来へ突入。

木兎さんが病院に行っているのは確かに不眠症ということもありましたが、実はその健忘症の様子を見るために木葉さんたちが行かせている、という設定があります。
夢酒が岩泉さんや及川さん、縁下くんと交流があったのは当然、バレーつながりで知り合ったからです。

最後に木兎さんが夢主の名前を言い当てたのは記憶に残っていたからか、それとも本当にただの勘だったのか。夢主本人は「記憶に残った」と判断しましたが、真実はご想像にお任せします。
ちなみに、木兎さんは「忘れてください」と言われたから夢主のことを忘れました。なら「覚えていてほしい」「思い出してほしい」と言われたのなら…?

なんにしても、書いていてとても楽しかったです。ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
次の連載はどうしようかと考えてもいますが、まだ完結していない話も多いので、そちらを中心に更新していきたいです。また生ぬるい目でご覧いただければと思います。

これにて書き納め!下記はTwitterで呟いたラスト原案です。

2017/12/31
管理人 浅葱茂依



少し前にこけそうになったところを助けてもらった、と説明すると、彼は首をひねりつつも納得した。手が離れる。
時計を見ると夜明けが近づいていた。現実が戻ってくる。私の嫌いな、朝がやってくる。
ゆっくりと歩き出した彼を追って歩き出す。しばらくして、ふと彼が立ち止まって私の方を振り向いた。

「―碧羽?」

息が、とまる。

「…あ、悪ぃ。なんか急に口から出てさ。」

教えていない。この人は私の名前を忘れているはずだった。
かれは驚く私をよそに、照れくさそうに笑っている。「あんたの名前だったりするのかもな」、あたっているとは言えなかった。ただ胸がいっぱいになって、どうしようもなく苦しくなった。俯く。

「!?そ、そんなに嫌だった!?ごめん!変なことしたの謝るから!」

涙をこぼす私に、見当違いな謝罪が浴びせられる。違う、違うんです、木兎先輩。あなたのせいじゃないんです。すぐに止めるので待っていてください。
オロオロする彼がこの上なく愛しくて、だから悲しくて、ごちゃまぜになった感情が湧き上がっては沈んでいく。
無意識で口にしたそれが、どうしようもなく私の心をざわめかせて、だからもう、充分だった。

これからだって、かれは私のことを忘れてしまう。愚かな恋だと笑われてしまうかもしれない。もっといい人が見つかるのかもしれない。
それでもあなたは、そして私は、何度だってお互いに恋をするんだ。