プロローグ
双子の妹が死んだ。気立てのいい、優しい妹だった。
妹は要領がよく、明るく、いつも周りにいろんな人がいた。両親はそんな妹がいなくなってひどく悲しんでいた。
二人が悲しんでいたから、俺がしっかりしないと、と子供ながら思った。いつも隣にいた妹がいないことは俺にとって違和感でしかなかったけれど、そんなのは父さんも母さんも同じだ。いつまでも悲しんでばかりはいられない。
ふぁんふぁん、どこか他人事のように聞いていたパトカーのサイレンがやけにうるさかった。今はそうでもないけれど、きっと一生忘れられない日になるのだろう。両親の泣き顔がやけに瞼の裏に残っている。
だめだな。やはり妹じゃないと。両親は妹のことが大好きだったから、ここに妹がいてくれたら、二人は泣き止んでくれたかもしれないのに。言いたい言葉はどれも何もしっくりこなくて、飲み込んで、ただ「泣かないで」と声をかけるしかなかった。
ああ、だめだ。泣き止んでくれない。笑ってくれない。俺のせいで。泣いたらダメなのに、俺まで泣きそうだ。息が苦しい。ずっと泳いでるみたいだ。
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