また会うなんて聞いてない
いまだ使い慣れないSNSアプリの通知音が鳴る。
『明後日、大阪』
小田切にしては珍しく簡潔に書かれた文章に首をひねった。明後日に大阪に来るつもりなのは分かったが、一人なんだろうか。小田切だけならば家に泊めることもやぶさかではないが。
『宿提供は何人だ?』と、泊まれるように配慮した事項を伝えると、割とすぐに既読がついた。夜とはいえ、既読がつくまでにかかる時間が短いのは突っ込まないほうがいいのかもしれない。
『俺と佐久間さん、福本がそっちに向かう。神永は自費』
「…んん?」
中々ガタイのいい人間がこちらにくるもんだ。
こちらに来て半年、甘利と三好は何度か俺の家を利用したが、ほかの人間が俺の家を使うことはなかった。まだ半年しか経っていないとはいえ珍しいし、D課の半分がこちらにくるなんて今までになかったことだ。
何かあったんだろうか。結城さんからはまだ連絡を受けていない。
どう返信したものかと悩む俺の前にアプリが更新される。
『一週間の休暇をもらったから遊園地で遊ぶ』
「暇人か?」
D課は元々暇人だということを忘れていた。
そうだ、D課は長期任務の比率が高い代わりに、仕事の母体数が少ないんだった…ちょうど四人の休暇が重なったのか、それとも重ねてきたのかは定かじゃないが。なんにしても神永だけ自費というのも悲しいだろうに。
人数的に俺は加算されていないんだろうことを見越し、神永もこちらに招くようメッセージを送った。詰めれば何とか四人くらいならいけるだろう。
俺がソファで寝ればいい…家主がソファってなんだ。余計に虚しさが募る。
『明後日の夜に着く。可能なら三日後を空けておいてくれ、土産を買いたい』
明後日が二日後、なら三日後は明明後日。
遊園地の前に土産を買うのか。遊園地で買えばいいだろうに。
色々ツッコミどころがあるものの、D課の面々からすると当たり前のことなんだろうから、細かく言う気も失せる。せめて問題を起こさないことを祈るばかりだ。
三好や甘利、田崎、実井に波多野の五人は仕事中とのことで、三好が歯噛みしている光景が目に浮かんだ。大阪限定のじゃがりこを食べたいと言っていたが、手に入れたんだろうか。
俺の命が危ぶまれるのは気のせいだと思いたい。
『明後日はクラムチャウダー』
報酬を提示してすぐ、OKの文字を浮かべたスタンプが返ってきた。
こちらに来てから全く体験しなかった、D課による忙しない一週間の始まりである。