別れと再会。その1

「あのな、サチコ…実はさ、俺、引っ越すことになったんだよね。」

そう言われたのはつい先日の事。
言われた瞬間頭が真っ白になってしまって、シズク君に何も言わずに家へと帰ってしまった。

それから気まずくて声をかけられずにいる。

「どうしよう、シズク君……いなくなっちゃうの、やだ……」

そう呟いても、部屋には私ひとりだけ。
隅で小さくうずくまりながら、考えるのはいつもいつも助けてくれた彼のこと。

私の不運体質を知る人たちはみんな近寄らないのに、シズク君はいつだって側にいてくれて。
ため息つきながらも、絶対離れないでいてくれて。

…………とっても、大切な友達で。
ずっと一緒に遊べると思ってた。

顔を見たら泣いてしまいそうで、最後くらい、シズク君を困らせたくなくて。
ずっと部屋に引きこもっていたら、風の便りで彼がもうジョウトからホウエンへと引っ越したと聞いた。

「もう、会えないんだ……」

自室の小さな窓から、空を見上げる。
会えない。けど、私と会わないほうが彼の幸せにきっと繋がる。
私の体質に付き合わなくて済むのだから。

そう思うと、すっと気持ちが落ち着いた。

「シズク君……どうか、お元気で。」

気持ちだけ、空を飛んで届けられたらいいのに。
そう思いながら私はぽつりと呟いた。