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比較的自由が許され、伸びやかに過ごしていたフラルダリウス家の双子たちだが、7歳にもなると彼らにも貴族としての教養や能力が求めれるようになってくる。いつも庭園や邸宅の廊下で遊んでいた子どもたちにも教師がつけられ、読み書きやセイロス教学、歴史や乗馬などを学ぶようになった。
フェリクスは騎士の元での見習い修行に向けて本格的に武芸の稽古がつけられ、シャーロットには刺繍や裁縫、音楽といった公爵家の令嬢として求められる力を身につける時間が設けられた。
ほとんどを卒なくこなしていた2人だったが、歴史の時間だけは別だった。

「ねえ、どうしてこの方達は反乱を考えたの?」
「どうして王国とレスター諸侯同盟が分かれたの?」
「どうしてスレンの民たちは私たちと戦い続けているの?」

なんでも一度考えたがるシャーロットに、教師たちは大変手を焼いていた。なんとか丸め込もうと説明をつけても、彼女は最後に決まって、「でも、彼らはどう考えたのでしょうか…」と呟くのであった。
当時の彼女はフォドラの外の民や国との関わりについて、殊更興味を持っていた。読み書きが不自由なく出来るようになると、シャーロットはよくフラルダリウス邸の図書室へ行き歴史の本を読みふけるようになった。スレンの民と王国の戦いやブリギットと帝国、或いはパルミラと同盟との関わりの歴史を紐解いては、納得のいかぬ顔で本を閉じる。読んだ歴史の書物が100を超えた頃、彼女は一つの結論に至った。
自分たちが知る歴史は、客観的なもののように見えて、その実主観が多く入っているものだ。より正確に歴史を捉えるためには、様々な立場から事象を見る必要があるのだ、と。

そう結論づけたシャーロットは、ブリギットやスレン、パルミラなど諸外国の言葉の勉強を始める。その熱心さは、父ロドリグも目を見張るほどであった。


そんなシャーロットには、国内外の貴族から多くの縁談の話がきていた。王国有数の大貴族家に生まれた令嬢で、マクイルの大紋章をもつ彼女はフラルダリウス家自体の継承権は持たない。しかし、彼女から生まれる子どもであれば、嫁ぎ先の一族の紋章以外にもフラルダリウスの紋章やマクイルの紋章を持って生まれる可能性がある。
彼女にとっては幼馴染であるゴーティエ家など紋章を重視する一族や、王国との繋がりを持ち力をつけたいゴネリル家など、多様な思惑が絡んだ縁談だけに、ロドリグは頭を悩ませていた。
貴族としては、シャーロットの縁談を足がかりにしてより力をつけるために、最も有用な家に嫁ぎに出すのが定石であった。しかし、彼はとても娘を愛していた。花が綻ぶような笑顔が失われるような、彼女を大切にしない家には行かせたくないと、父としての自身が判断を鈍らせていたのだ。

そんな折、彼にとっては悪友でもあるランベール王が部下を伴わずに訪ねてきた。珍しいこともあるものだ、と迎え入れる。人払いをさせてから、ランベールはこの数年間頭の片隅で考えていたことを、友人に伝えるのであった。


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