ここまでお読みいただきありがとうございます。さて、ここからは本編で書ききれなかった補足と設定+あとがきという名の自分語りを書かせて頂こうと思います。無駄に長いですが興味がある方だけお読みいただければと思います。(製本時に書いたものを一部手直しして投稿しています)
《中学時代の二人》
◇中二のとき
委員会が同じだっただけで別に仲良くはない。初めは「九井くん」呼びだったけど他の人が「ココくん」って呼んでるのを聞いてつられて「ココくん」と呼んだら「なに?」みたいな感じで嫌がられなかったのでそのまま呼ぶことに。
また、この時の互いの印象に関して。
ヒロイン→九井の印象は作中の通り、勉強ができる子。
九井→ヒロインの印象は「コイツ賢いな」
この「賢い」はテストでいい点数取れるって意味だけじゃなくて人との距離の取り方とか話の内容も含めて。この時から既にヒロインの家庭環境は悪いので友達にも自分の事あまり話さないんですよね。選挙委員の時も親しげに話しつつも他人を寄せ付けないような防御線みたいのを張ってるのは感じ取れた。その様子から九井はヒロインに自分と同じ匂いを感じてた。
◇中三のとき
クラスは別々。例のバイト先で先に気付いたのは九井。騒がしいテーブルあんなって思って見たらアイツじゃね?みたいな感じです。ヒロインは九井のいるテーブルの担当になった時に気付いた。でももちろんここでは互いに知らんフリ。因みにこの時九井→ヒロインの好感度は上がってます。空気読んでくれたこととやっぱり自分と似てんなってことを知れたので。ただこの出会いにより何かが変わるわけでもなく、お互いに話しかけることもないし学校でもそのままの関係(クラスも違うので会いに行ったりはしない)です。
このあたりでBDの再建が始まる。ある日、九井と大寿が特攻服着て一緒に店に来たのでそこで九井と大寿に繋がりがあることを知りました。
余談ですが、大寿はヒロインのことを知らない(クラスも違ったので)です。また、ヒロインは乾と会ったことないです。
◇九井が本格的にヒロインを意識し出した日の出来事
ある日、取引を終えて店を出ようとした九井が廊下を走るヒロインを見かける。様子がおかしい事に気付き大寿には先に帰ってもらい後追いかけたら共用トイレでグロッキー状態になってるヒロインを発見。この時に初めて九井から声を掛けます。
「オマエこんなとこで何やってんだよ」
「体内のアルコール吐き出してる」
「ンなの見りゃ分かるわ。働いてる理由だよ」
「お金欲しいから」
「は?」
「生きてく為には稼がなきゃ」
寝る所も食べる物も勉強する場所もお金がないと手に入らない、という内容を九井に話す。この時のヒロインは泥酔してるし呂律回ってないし支離滅裂な状態。でもだからこそ嘘を付いてないことが分かる。自分と同じようにお金に執着するヒロインを見て「バカだな」と思いつつもほっとけないような気持ちになる。そしてこの時からヒロインのことを目で追うようになりました。だから高校生になってヒロインが引っ越したと知った時には心配にはなりました。
◇いざとなったときのヒロインの行動
もし九井が他の組織に目を付けられて命を狙われたとしてもヒロインは一緒にいます。また九井のせいで自分の命が危なくなった場合、九井が「別れよう」と言ってもこの子は絶対に別れないし九井を置いて身を隠そうともしません。クーリングオフはきかないって言ったでしょ、って笑って着いてきます。本編七話目での描写通りこの子はもう一人じゃ生きてけないので九井のいない世界を考えられないんですよね。表には出さないけれど結構重めな感情を抱いてたりします。
《あとがき》
私自身、字書きとして様々なジャンルを渡り歩いてきた人間になりますが大抵の場合は話のネタが最初に浮かびます。そこから大筋を決めてそのネタを上手く消化できそうなお相手を選んだり、また自分の書きたいお相手に馴染むようにネタを修正していって一つの話を書いてきました。でも今回のお相手は今までの手法では書けなかったです。そう、九井一くん。キミのことです。
知れば知るほど九井一という人物は奥が深いです。W金をつくる天才Wと呼ばれるまでにどれほど過酷な人生があったのでしょうか。そして要領がいいからこそなんでも一人でこなしてしまう。彼のルーツを一つ一つ咀嚼し考えた結果、この人はとても不器用な人なんだということに気付きました。そんな彼と同じ歩幅で歩いていける人はどんな子なのか考え今回のヒロインが誕生しました。そしてそのヒロインを軸に九井とどういう風に絡ませるかという視点から話を膨らませていきました。そしてもれなくこれだけの長さになり、シリーズをほぼ毎週更新するという忍耐力が鍛えられました。
この話を書くとき、私は互いの口から「好き」というセリフを言わせないこと、そして互いに意思を持って触れ合うのは最後の手を繋ぐところだけと決めていました。長年一人の女性しか愛せなかった彼とまともな恋愛ができなかった彼女にはゆっくりと関係を始めて欲しかったからです。その結果、終わりの始まりみたいな形にはなりましたが無事に彼らは本物の夫婦になることができました。
ここからは書下ろしについて少しお話したいと思います。私の場合は短編でも長編でも後日談的なお話はあまり考えません。何故なら、最終的に両想いになって終われば後は彼等が勝手に幸せになってくれると思っているからです。だからこそその先を考えるのは野暮な話で、書き終えた後は毎回ハンカチで涙を拭いながら末永くお幸せに!と思いながら「完」の字を打ち込みます。
しかし今回はそうはいきませんでした。何故なら彼らが拗らせた女と不器用な男だったからです。えっこの二人、なにも言葉で伝えあってないけど大丈夫?すれ違いコント始めないよね?と私の親心が唐突に疼き始めました(注:そうさせたのは私です)ヒロインはこれから仕事に打ち込むだろうし、それにこの子の場合は確かに九井の事は好きだけど「愛してもらう」ことよりも「一緒にいてほしい」を望んでいる子で。片や九井もそんなヒロインに気を使ってか関係を前に進めないのでは……?と物凄く不安になりました。だから私はハンカチを捨て置いてすぐさま彼らと同じ飛行機に飛び乗りました。
そして案の定、ヒロインはやらかしてました。まさかホテルの部屋を別で取っているだなんて誰が考えましたでしょうか(解:私です)そんな事とはつゆ知らず、訳が分からないとばかりに壁に頭を打ちつけた九井はその場に崩れ落ちていました。私はそんな彼に思わず駆け寄り必死に励ましの言葉を掛けたのです。その甲斐あってか九井はヒロイン好みのホテルの一室を予約してくれました。よくやった。これで私も一安心です。
しかしお次はこの男がやらかしました。なぜツインルームを予約した?この私の尋問に対し九井は「下心はあるがさすがにベッドも同じにしたらあからさま過ぎるだろ」と供述致しました。九井の気持ちは分からなくもない。しかしこれでは何も進展致しません。ということで、私はすぐさまヒロインを慰めに行きつつ、もうどうにもならないから貴方から頑張ってくれ、と頭を下げて頼み込みました。その結果、最終的には九井も雄となりいい雰囲気まで持っていくことに成功しました。ほんっっっとに長かったわぁと私はそこでようやく胸をなで下ろすことができたのです。そしてそのまま一人帰国しこの後日談を書き綴ったというわけですね。はい、全部ウソですごめんなさい。ただ、帰国後に二人の寝室は同じになります。ですが九井がいないときにヒロインは自分の部屋で寝るので(勝手に入って先に寝てるのもな、みたいな気持ち)それで翌日の九井の機嫌が悪くなったりなかったり……これは本当の話です。
二人が結ばれるまで山あり谷ありではございましたが、ここまでくればあとはもう放っておいても勝手に幸せになってくれるのだと思います。末永くお幸せになってください。
ここまでこの二人を見守って頂き本当にありがとうございました。