「はあ〜まじかよ〜」
さかのぼること約半日。
クラスのやつらと共有スペースで談笑していたところで事件は起きた。
いつもみたいに峰田が騒いで、俺と耳郎がなんだかんだと言い出したあと、切島がとんでもないことを言い出したのだ。
ーあ、最近苗字のことちょっとかわいいなって思ったわ
その言葉を聞いた瞬間、手に持っていた炭酸飲料を思わず落としかけた。
だっててっきり切島は同じ中学出身だという芦戸を好きなのだと思っていたから。
よりにもよって切島とかぶるなんて。
峰田は本人が言う通り誰でもいいのだろうから論外だし、緑谷はどう考えても自分から積極的に女子を口説けるタイプでもないだろうからノーマークだったがうかつだった。
苗字は決して派手なタイプではないし、いろんな意味で“個性的”なクラスの女子達と比べればかなり地味な方だ。(見た目的な意味で)
個性はそれはもう男子にも引けず劣らず強力でさすが雄英生といった感じだが、一見普通の女の子だし、八百万や麗日みたいに発育がいいかと言われればごく平均的、もしくは少し幼いほうだと思う。
だから苗字の良さに気が付いているのは俺だけだとすっかり思いこんでいた。
「はあぁ〜…」
静かな廊下に俺のでかいため息が響く。
なに、別に俺の彼女なわけでもなければ、切島が俺よりリードしているわけでもないのだが。
だがしかし、クラスメイトの中でも比較的親しいほうである切島と思い人が被るなんて。
友をとるか、恋をとるか…齢15歳の俺の身に大きな選択がのしかかる。
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