白い肌を赤く染めた名前の桜色の唇に軽く触れるだけのキスをする。
ぎゅっときつく閉じられた目元でふるふると睫毛を揺らす名前は、何度一緒に夜を過ごしても初々しい反応を見せてくれるから堪らない。
「ホ、ホークス、!」
「ん?どしたの、名前」
まだキスをしただけなのに、大きな瞳を潤ませて名前を呼ぶなんてそんなの反則だろう。
口では返事をするけれど、手を止めてやることはしない。
抱きしめていた手を後頭部に添えてやって、2人で眠るにもだいぶ広いキングサイズのベッドにぽすんと名前を押し倒す。
「あ、明日…仕事でしょ」
俺は個性の特性上、しっかり眠らないと羽が回復しないこともあり翌日仕事を控えてる日には名前を抱く事はあまりしない。
ただでさえ帰りが遅い日も多いし、もしかしたら歳の割にはあまりそういった欲求が強い方ではないのかもしれない。
とはいえ無論まったく興味や欲がないなんて事はなく、こうしてふとした時に彼女がとても欲しくなって、一度そう思うと手に入れるまで気が済まなくなってしまう。
「だから、明日は休むよ」
「だって、仮病…でしょ」
心配したのに、と口を尖らせる名前は眉間に皺を寄せて怪訝な顔を浮かべるも、下から見上げられてもただの上目遣いにしか見えなくて、そんなの俺の嗜虐心を煽るだけでしかない。
「仮病じゃないけど?疲れてるのも、名前欠乏症もホントの話だ」
「…っふ、」
名前がでもだってとなにかと理由をつけて口ごたえをしてくるのは、ただ恥ずかしいだけにすぎないということは重々承知している。
その口を黙らせるように俺の口で塞いできゅっと結ばれた唇をぺろりと舌で舐めれば、投げ出されていた名前の手がきゅ、とシーツを掴んだ。
「…ちゅ、」
「ふぁっ、…んぅ、っ」
なかなか離れてやらない俺の唇にさすがに呼吸が苦しくなったのか、頑なに閉じていた名前の唇が薄くひらく。
待ってましたとばかりに隙をぬって薄くて小さい名前の舌を捉えると、ぴちゃぴちゃと響く水音が2人しかいない寝室に響いてなんだかすごくいやらしい気分にさせられる。
「…っはぁ、っ」
「かわいいね、名前」
「…ばか」
俺としてはそのままいくらでもキスしていたいところだったのだけれど、シーツを掴んでいた名前の手がとんとんと俺の胸元を叩いて解放を求めるものだから致し方なく一度解放してあげることにした。
より一層瞳を潤ませた名前は恨めしそうに俺に視線を向けるけれど、名前サン、だからそれ逆効果ですって。
「なに、もっとしたいって?」
報道陣相手にも度々ビッグマウスを叩いてメディアを騒がせるのはちょっとした俺の趣味だったりするけれど、それは彼女を前にしても健在である。
あまりに軽口が過ぎると事が終わった後にこんな時にまで、とぶつぶつ文句を言われるけれど。
今夜もきっと小一時間後にはまた、俺の腕の中で微睡む名前に苦言を溢されるのだろうと想像して小さく笑ったら、下にいる名前が口にした言葉は俺の想像とは違うものだった。
「…電気、消してから」
どうやら、いつの間にか名前の方が一枚上手になっていたのかもしれない。
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