遮光カーテンの隙間から溢れる太陽光が眩しくて目が覚めた。
昨晩は久しぶりに目覚まし時計をかけずによく眠った。
とはいえいつも目覚ましが鳴る前に漂ってくる朝食のいいかおりで目を覚ますのだけれど。
いつもならばその朝食を作るべく俺より一足先にベッドから抜け出している名前が、今日はまだすやすやと寝息を立てて俺の腕の中で小さくなって眠っている。
その名前を起こさないように静かに腕を伸ばしてカーテンを少しめくれば、澄んだ青色に雲一つない秋晴れの空が広がっている。これは絶好の外出日和である。
ヘッドボードで充電していたスマートフォンを手に取れば、時刻はAM9:07
今からベッドを出てシャワーを浴びて、のんびり身支度をして出かければ少し早めのランチにありつけるだろうか。
俺より身支度に時間がかかる名前に先にシャワーを譲るべく起こそうとする前に、念のため仕事用の連絡ツールに一通り目を通す。
サイドキック達には昨晩あらかじめ今日は要請がない限り事務所には顔を出さない旨をチャットで一括送信していたが、誰もがそれに承知した旨だけのシンプルな返事をくれていた。
「ん…ほー、くす?」
「あ、ごめん。起こしちゃったか」
「…ん、おはよ」
「おはよう、名前」
仕事のメールをいくつか返してから起こそうかと思っていた名前が目覚めたようだ。
予定より少し早く目を覚ました彼女の寝起きの姿を見るのはずいぶんと久しぶりのことになる。
さらりと流れる髪を一撫でして、まだ開き切らない眠たげな瞼に小さなキスを落とした。
「見て、今日は快晴だ」
「…いい天気」
「先シャワー浴びといで。出掛けよう」
「うん」
寝起きでまだぼーっとしているのかいつもより幾分か舌足らずに話す名前があどけなくてかわいらしい。
なかなか拝むことのできない名前の気の抜けた姿に朝だということも忘れて邪な気持ちが湧き上がる。
いっそ外出の予定を変更してこのままベッドで1日中名前を抱いて過ごすのも悪くないとも思うけれど、出掛けると声をかけた際の嬉しそうに綻んだ彼女の笑顔を見てしまったらその気持ちを裏切るわけにもいかないだろう。
小さなあくびをしながらのそりとベッドから出ていく名前を見送って、先ほど打ちかけた仕事のメールの続きを書くべくスマートフォンを再度手に取った。
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