02
「おーい赤也 お前さっきからニヤニヤしてどうしたんだよい」
麗奈との出会いの後、丸井と仁王のいる教室に来ていた赤也は緩む頬を丸井に指摘され、そういえば2人に先ほどの出来事を話すために教室に来た事を思い出した。
「丸井先輩!いやー俺ってばちょっと運命の出会いってやつをしちゃったみたいなんスよね」
「はぁ?運命の出会い?」
赤也のふざけた返答に丸井が眉を寄せる。しかしすぐそばにいた仁王が面白そうに口を開いた。
「赤也が運命の出会いのう…どれ、ちとお兄さん達に話してみんしゃい」
仁王に促されて赤也が先ほどの出来事を話し始める。
「ーーってことがあってですね これが本当にちょー可愛かったんスよ!なんかいい匂いもしたし、柔らかかったし…」
「感想が生々しいのう で、どこまでいったんじゃ」
「え?どこまでって、だからほっぺにキスされたとこまでっスよ!」
「なんじゃそれだけか てっきり味見くらいしたのかと思ったぜよ」
「バカ仁王 赤也にそんな度胸があるわけねーだろ。ほっぺにチューだけで運命の出会いとか言い出す奴だぞ」
「それもそうじゃな すまんナリ赤也」
「あんたら朝から喧嘩売ってんスか!?」
赤也はおちょくってくる先輩二人をキッと睨みながら思った。この二人に話した自分がバカだったと。
しかしこういう話をノリノリで聞いてくれるのもこの二人なのだから仕方がない。
「ほれ続きはまた後でじゃ お前さんは教室に帰りんしゃい」
「お!もうこんな時間だな 赤也、また後で話聞いてやるよ」
「はいはいわかりましたよ!仁王先輩も丸井先輩も後で羨ましがっても知りませんからね」
捨て台詞に赤也がそう言うと仁王と丸井が再び笑った。
「やーしかし赤也があれだけ騒ぐほどの美女なぁ そんな女子いたか?」
「いたら騒ぎになっとるじゃろ まぁ赤也がB専じゃなければの話じゃがな」
「だよなー んじゃあその赤也が言ってた運命の相手ってのは一体どこのどいつなんだよい」
丸井がガムを膨らましながら頭を捻る。
そうこうしていつもの様に担任が教室へやって来た。
「みんな席につけー」
担任が教室に入ってきたことにより友達同士で固まって話をしていた生徒達が席に着く。
「よし じゃあイギリスから来た転校生を紹介するぞ」
担任のその一言にクラスが転校生?イギリス?と一気にざわめき立つ。そんな中、仁王と丸井は意味深に顔を見合わせた。
「おい 転校生ってもしかして」
「その可能性大じゃな 転校生なら辻褄が合う」
"でもあんな美人な人見たら忘れないんスけどねー"と言っていた赤也の言葉が二人の脳裏をよぎる。
仁王と丸井は担任が外で待機しているであろ転校生を呼ぶのを見てじっとドアの方を見つめた。
まず第一に視界に入ってきたのはスラリと長い手足だった。次いで亜麻色の艶やかなストレートヘアーに宝石のような輝きを放つ琥珀色の瞳。
その日本人離れした外見はクラス中の視線を惹きつけるには十分だった。無論仁王と丸井も同様である。
「本日から皆さんと同じクラスで過ごさせて頂きます一条麗奈です 日本での生活は初めてなので至らぬ点はあるかとは思いますが仲良くして頂けると嬉しいです。よろしくお願いします!」
最後にふわりと笑顔を浮かべて麗奈は簡単な自己紹介を終えた。
しかし麗奈が自己紹介を終えたものの、生徒達は心ここにあらずと言った感じで未だ麗奈に見惚れているようだった。そんな様子を見かねた担任が生徒達に声をかける。
するとようやく自我を取り戻した生徒達がわらわらと顔を見合わせ頷き合った。今朝ロールスロイスに乗った美少女が現れたという噂は本当だった、と。