ビーーッ(2)



腕を上げたな…、お前こそ…、そんな会話をいつの間にやら二匹に増えたマツバのゲンガー達と話していると、最近はもう聞きなれたけたたましい声が聞こえてきた。


「ピルピルピルピピピピーー!!!」


なかまにいーれて。とバサバサと忙しなく翼をはためかせるムックル。俺達はなんとなく事態を察する。きっといい雰囲気を邪魔したムックルは、遊んでおいでとでも言われて体よくあしらわれたに違いない。こうはしていられるか、修験者だとか己を語るあの男、俺は自称に違いないと確信している。煩悩に満ち満ちているのだ、あいつは!

何故かモココは見守りたい等とぬかしてやがるから、きまぐれなはずの俺が主人を守るしかないのである。

そりゃあ、まあ、応援する気持ちが無い訳ではないのだが…、…だがしかし、真昼間から煩悩全開にするようなら容認する訳にはいなかないのも確か。


「ゲン、ゲンゲン!」

「ゲンガっ」


おいおい、うちの主人の邪魔しに行くつもりじゃないだろうな。目の前を遮るニヤけ顔達。…テレビでこんな悪役を見た気がするんだが。


「ゲンガッ!ゲンゲンガッ!!!」

「ゲゲッゲゲゲッ?」

「ゲゲゲ、ゲン!」

「ピルル?」


退けと言っても聞かないゲンガーに、どうしたの?と首を傾げるムックル。この間にうちの主人が取って食われたらどうしてくれるんだ。

主人がマツバに食べられそうになっている。少々語弊がある言い方でムックルを呷ると、俄然気合いの入ったムックルがしゅじんはぼくがまもる!だなんて息巻いていた。…どうでもいいが、このやり取り何度目だと思っているんだ。いい加減パターンを覚えて欲しいものだ。あと鳴き声がうるさい。


  

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