ビーーッ(3)
何故か巻き込まれにやって来たムウマージやヤミラミも何とか避け、やっとこさやって来た障子に手をかける。
「ねえ、この芸人さん知ってる?」
「知ってます!ネタが面白いんですよね!」
「そうそう!僕、この前初めて見たけどあれ面白かったな」
「もしかして一昨日の番組のですか?」
「うん、コンビニのコント」
「ああやっぱり!あの店員役のセリフ…あ、この女優さん知ってます?」
「え、ごめん知らない」
「今度出る映画、主演に大抜擢されたんですよ!演技上手みたいですし、話も面白そうだからみたいです!」
「そっか、…じゃあ見に行こうか」
「えっ!」
「……ゲン…」
障子に伸ばしていた手をひっこめた。
「メ?」
ね?そんな一言と一瞥をよこしたモココに溜め息を吐く。何が"ね?"なのかはこの穏やかな茶の間の雰囲気を察すれば理解できた。つまり俺達の出る幕ではないと。
悔しいかな、主人を今笑わせているのは憎たらしいあの男に違いなかった。…会えなかったこの数日、少し寂しそうにしていた主人を思い出すと今すべきは妨害ではないと裕に理解できる。
「ゲンガ…」
「メェ、メメェ〜」
ほら、さっさと行こ行こ。そういって欠伸をしたモココと障子を後にすることにした。
「ピルピルピル
ビルピビーーッ」
(障子の破れる音に鈍い音)
(それから何か呻き声。)
(あのおばかちゃんったら)
120818
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