同じ学年の水泳部と思われる男の子はよく赤眼鏡の男子を誘っている。
彼もよくやるなーと思いながら、鞄に教科書を詰め込んだ。
「じゃあ、俺帰るわ」
「おー。じゃあな御影」
「ん、じゃあな」
今日の夕飯何にしようかな…
作るの面倒だな…
「あ、御影君」
「え?あぁ…どうも」
またこの人か…
自分より少し高い彼にペコッと頭を下げる。
「今帰り?」
「まぁ…」
なんで橘さんはことあるごとに俺に声かけてくるんだろう…
「あのさ、御影君」
「なんすか?」
「水泳部入らない?」
……あぁ、この人も勧誘か…
視線を逸らして溜息をつく。
「松岡にも言ったんすけど、俺はもう関係ないんで」
「いや、凛のこととか関係なくさ…一緒に泳ぎたいなって」
彼の言葉に顔をしかめる。
「水泳は一人でやるものっすよね?」
「え?」
「誰かとなんて、無理っすよ」
俺はそう言って、下駄箱を開ける。
「じゃあ、俺は…「あ、マコちゃん!!」」
いつも勧誘をしている同じ学年の奴がすごい勢いで橘さんの腕に飛びつく。
「あれ?話してる最中だった?」
「うん。ごめんね、御影君」
「いえ…俺はもう帰るので」
2人の視線から逃げるように背中を向ける。
「御影君!!さっきの話考えておいて」
どんなに考えたって、答えは変わらないのに…
外では陸上部が練習していた。
その中に赤い眼鏡の彼を見つける。
「…陸上部の奴を誘ってんのかよ…」
そこまでして1人増やす必要どこにあるんだろう…?
帰り道で携帯が震える。
「誰からだろう…」
震えた携帯を見て、足を止める。
凛と書かれた画面に目を伏せる。
震える携帯は留守電のアナウンスに切り替わる。
『もしもし、俺だ。凛。…俺、水泳部に入ることにした。岩鳶にも水泳部あるんだろ?…お前も入れよ。また、お前と…。いや、何でもねぇ…じゃあな、朱希』
プツリと切れた声に、俺は携帯を握ったまま唇を噛む。
「俺のことなんて忘れろって、言ってんだろ…」
留守電1件と表示される画面を閉じて、止めた足を動かす。
「やっぱり、オーストラリアに戻ればよかった…」
そうしたら、こんな風に凛と再会することなんかなかったんだ…
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