観戦席に出て、プールに彼らを見つけた。
「「「えぇ!!?」」」
驚くコウ達の声を聞きながら凛を見つめる。
スタート台に立った凛が楽しそうに笑った。
ずっと見たかった笑顔に俺は目を細めて笑う。
「フリーでいいとは言ったが、フリーダムすぎんだろ」
「入水角度が5度足りませんがまぁいいでしょう…」
「て、なんでお前がここにいるんだよ!!?」
驚いている笹部さんに俺は苦笑して、コウの名前を呼んだ。
「朱希君?」
「きっとこれが…コウの見たがってた姿だよ」
「え?」
「コウの言ってた一緒に泳ぐって、きっとこういうこと」
コウは目を丸くして俺を見る。
「詳しい話は後な。今は応援してやれ」
「うんっ!!」
コウは嬉しそうに笑う。
「行っーけ、行け行け行け行け凛!!」
必死に声援を送る彼らを俺は笑いながら見つめる。
俺が知らない仲間ってこういう奴なんだろうな…
ゴールした遙さん。
掲示板の岩鳶の横に記された1と言う数字。
歓声が会場を包んだ。
水から上がった遙さんに凛が抱き着き、真琴さんと渚もそれに抱き着く。
楽しそうに笑う凛がそこにはいた。
「お兄ちゃん…」
「凛のやつ目茶苦茶速いじゃねぇか」
「びっくりしたけどちょっと感動しちゃった」
嬉しそうなコウ達から視線を怜に向ける。
「本当に、美しいですよ。貴方たちは」
「…怜もだろ」
「え?」
「行ってこいよ、あそこに。きっと、怜のいる場所はあそこだ」
指差して笑えば怜は目を丸くする。
「え、ですが…」
「仲間なんだろ?」
「朱希君もでしょう?」
怜の言葉に俺は首を横に振った。
「多分さ、一緒に同じものを目指してるから仲間になれるんだよ」
「朱希君?」
「俺はまだ仲間にはなれない。目指す物がまだ、違うから…けど、いつか仲間になれたらいいな」
ほら、行ってこいと怜の背中を押して溜息をついた。
「朱希君も行けばいいのに…」
いつの間にか隣にいたコウに俺は苦笑する。
「まだ、仲間にはなれてねぇんだよ。俺の中では」
鞄の中からゴーグルを出して笑う。
「けど、今日で終わらせてくるから」
「え?」
「そしたらちゃんと、あの人たちの仲間になれるといいなって」
体をぐっと伸ばして更衣室に向かう。
「朱希君、伝言は?」
「ん?そーだなぁ…じゃあ、―――――……」
俺の言葉にコウは目を丸くしてから笑う。
「伝えておくね」
「おう。じゃあ、行ってくる」
今度こそ兄さんに勝って…
アイツらの仲間にちゃんとなれたらいいな。
「さぁて、ちゃんと見てろよー兄さん」
更衣室の前に見覚えのある姿を見つけた。
「御子柴さん?」
「よぉ、御影」
「すみません、あんな無茶をして」
御子柴さんは溜息をついて自分の髪をかき乱す。
「お前が言ってた七瀬たちとならっていうのはああいうことか?」
「一緒に泳ぐとは思ってなかったすけど、ああいうことっすよ。俺には出来ないけど」
「…そうか。あんなに速い松岡は初めて見た」
御子柴さんの言葉に俺は笑う。
「きっと、次は鮫柄であの泳ぎを見せてくれますよ」
「何故そう思う?」
「凛は前に進めたから、きっと鮫柄で最高のチームを見つけられる。だから、退部なんてさせないで下さいよ?アイツ単純なんで退部しますとか言うと思いますけど…」
クスクスと笑いながら更衣室のドアを開ける。
入ろうとして、足を止めた。
「もう1つ」
「なんだ?」
「俺、兄さんを目指すのは今日でやめます」
「…覚悟はできたのか?」
茶化すように言った御子柴さんに笑う。
「バッチリっすよ」
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