真琴視点
「すごくカッコよかったです!!」
嬉しそうに言う江ちゃんに俺達も顔を見合わせて笑う。
「お兄ちゃん、次朱希君が泳ぐよ!!」
「朱希が?」
「うん」
俺達と一緒に戻ってきた凛がプールに視線を向ける。
「あ、そうだ!!朱希君からの伝言」
「また悪い知らせ?」
「違いますよ。“1番になって帰ってきます”って、言ってました」
江ちゃんの言葉にまた顔を見合わせる。
「朱希ちゃんがそんなこと言うんだ…」
「朱希君は、きっと1番になりますよ」
スタート台に朱希が立つ。
「朱希ー頑張れー!!」
「朱希ちゃーん!!」
あのときみたいに視線はこちらには向けなかった。
けど、楽しそうに笑っている。
「朱希ー!!!」
手すりを掴んで叫んだ凛に朱希は胸に手を添えて目を閉じた。
「朱希…」
スタートの合図が鳴る。
「朱希ちゃん速い!!」
ぐんぐんと差を作っていく朱希を必死に応援する。
あのときみたいに泳ぎが違うなんてことはなく、朱希の泳ぎだった。
「朱希ー!!!」
「朱希君!!!」
1位をキープしたまま朱希がゴールに手をついた。
御影朱希と言う名前の横に1と言う数字が刻まれる。
『ただ今第4レーンを泳いでいました御影朱希選手、高校新記録です!!』
放送で流れた言葉に歓声が大きくなる。
プールの中にいた朱希がガッツポーズをして水面を叩いた。
「嘘…」
「高校…新記録…?」
「本当に1番になってる…」
朱希はプールから上がって体を伸ばす。
こちらに手を振った朱希が笑った。
朱希視点
決勝に出場した俺は余裕で1番を取って全国大会へコマを進めた。
決勝では、日本新記録をとった。
残念ながら今回は世界新記録じゃないけどな…
「高校新記録とって…」
「日本新記録もとるって…」
驚いている彼らに微笑む。
「宣言通りっすよ?」
「てっきり、1位を取るって意味かと…」
「まぁ、約束も守ったし…」
これで、たからばこを開けられるな。
「凛から伝言だ」
遙さんがじっと俺を見つめた。
「なんすか?」
「帰ったら会いに行く…だそうだ」
「そうっすか」
夕暮れに腕を組み怒った顔の天方先生。
「はい、というわけで感動的な試合を見せて貰ったけど貴方達は失格ね。御影君は全国大会には出場できるわよ」
「ま、当然だな」
「役員の人に叱られて大変だったんだから。よその学校の選手とリレーなんて前代未聞だって」
天方先生の言葉に4人が同時に頭を下げる。
「「「「すみませんでした」」」」
「でも、まぁいいわ。無茶と無謀は若者の特権だし」
「何であんな無茶やったんだよ…」
彼らは顔を見合わせて、笑った。
「それは…決まっています」
「うん!!チームは違っても」
「俺達は…」
「仲間だから」
満足げな彼らに天方先生たちは首を傾げた。
「どういう意味なの?」
「まぁ、所詮青春物語ってことですよ」
「朱希ちゃんざっくりまとめすぎー!!」
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