鮫柄との第2回合同練習を行うことになった。
真琴さんたちと凛がいなくなったのでコウと似鳥が探しに行っている。
「全国大会1位おめでとう。久瑠橋」
「御影ですよ、御子柴さん」
プールサイドで準備体操をしながら御子柴さんと話をしていた俺は小さく溜息をつく。
「わざとですよね、それ」
「あぁ、わざとだ!!」
「はぁ…」
この人真剣じゃないときは面倒な人だ。
「しかも世界新をだすとはな…」
「1500でもちゃんと世界新出しましたよ、この間」
全国大会を終え、俺は個人メドレー400mの全国1位という称号と世界記録保持者という肩書を貰った。
そして、その後大会を見ていたお偉いさんに見つからない天才スイマーだとバレてもう1度1500mのタイムを測り直すことになった。
結果、また世界新を叩きだし見つからない天才スイマー見つかる!!とかいう見出しで雑誌の乗せられたわけだが…
「俺は負けんぞ!!約束だからな」
「楽しみにしてますよ、一応」
「そういえば…お前はどうするんだ?」
突然の質問に何がですか、と首を傾げる。
「オリンピックを目指すのか?」
「オリンピックの選手候補として来年強化合宿には参加予定なので、オリンピックが目標ってのは少し違いますかね」
「じゃあ、お前の目標は?」
少し考える素振りをしてから空を指差す。
「頂上であり続けること」
「この間の御影とは随分違うことを言うな」
「気が変わるのが早いんすよ。それから…俺みたいに水泳を諦めようとしてる人達の手伝いをしたいなぁとは思ってます。寄付とか…そういう?」
怪我とか、親を亡くしたとか…
きっと、やりたくてもできない人も山のようにいる。
俺は幸運にも救ってくれる人がいて、ここまで来れた。
「俺がして貰ったこと、みんなに返したいと思って」
「そうか…」
「あ、あとは…あれっすね。凛や遙さんたち…学校とか関係なしに最高の仲間と世界で肩を並べて戦えたらいいなぁって」
笑いながら言えば御子柴さんが乱暴に俺の頭を撫でた。
「いいじゃないかっ!!俺もその仲間に入れて貰おうか」
「俺と競技被るんで毎回対決っすかね」
「絶対勝つ」
先日、凛はオリンピックの選手を目指すと俺に2度目の宣言した。
俺と肩を並べて世界に行くと。
だからそれまで俺は世界で彼を待つ。
「おっ来たようだなアイツら」
「たく、何やってたんだか…」
背中の傷を隠すことをしなくなった俺はショートパンツ型の水着を着て体を伸ばす。
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