「凛ちゃん、勝負だよ!!」
「わかってるよ!!」
「負けませんよ」

そんな彼らのやり取りも見ながら、笑っている凛を見て微笑む。

「恋人と言うよりは、保護者だろ」
「ほっといてください。てか、何で知ってんすか…」
「いや、松岡を見てれば分かる」

にやりと笑った御子柴さんに溜息をつく。

「顔に出やすいから困りますね、本当に」

更衣室から出てきた彼らを見ながら溜息をつく。

「朱希!!」
「なんだよ」
「部長と何話してんだよ!!」

駆け寄ってきた凛の髪を撫でて笑う。

「なんでもねぇよ」
「嘘だろ、絶対!!」
「久瑠橋、お前も結構わかりやすいだろ」
「御影ですって。てか、余計なお世話です」

拗ねた顔をする凛を見て苦笑する。

「さっさと練習始めるぞ」
「…わかってるけど」

目を逸らした凛の額にキスをして体を離す。

「メドレーリレーの勝負すんだろ?さっさとストレッチして来い」
「おう」

走って行く彼の背中を見つめて溜息をついた。

「慣れているな」
「放っておいてください。さてと、アイツらも勝手に始めるだろうし…一勝負といきません?」
「そうだな」

スタート台に立って高鳴る胸を撫でる。
いつまでたっても心臓は水に近づけば高鳴り泳ぎたいと訴える。
時々無意識に兄さんの泳ぎをすることがある。
きっとそれは兄さんがこの体を借りて泳いでいるんだろう。

「準備はいいか、御影」
「バッチリっすよ」

スタートの合図が鳴ってプールに飛び込む。
自分が生きる場所はやっぱり、ここなのだ。

深く深く水に潜りながらそう、考えた。


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