結局平穏な学校生活のために合同練習には参加することになった。
「ありがとね、御影君」
「…いえ」
嬉しそうに笑う橘さんに溜息をつく。
「御影君着替えないの?」
「すいません、先に行ってください」
「え?うん。わかった」
水着になって出ていく彼らを見送ってから服を脱ぐ。
「さてと…問題はここからか…」
水着を着て、備え付けの鏡に背中を向ける。
「…どうすっかな…」
水着の上にパーカーを羽織って、防水のイヤホンを両耳に差し込んで彼らの後を追った。
オレンジ色の髪の人と橘さん達が話しているのを見ながら壁に背中を預ける。
イヤホンを外して、プールを見渡す。
視線を橘さん達の方に戻したときに見えたジャージ姿の男に俺は目を見開いた。
凛!?
なんでここに…
そういや俺…アイツの学校知らねぇな…
彼の視線がこちらに向く前に橘さんの後ろに隠れる。
「どうしたの、御影君?」
「いや…凛が…」
「え?あぁ…」
橘さんが凛の方に視線を向ける。
「あ、お兄ちゃん!!」
嬉しそうに駆け寄っていく松岡に俺は溜息をつく。
「江…何余計なことやってんだ…」
「凛ちゃーん、また一緒に泳げるね。今日はよろしくね」
松岡の後を追って凛の所に走って行く葉月。
「一緒に?ハッお前達じゃ相手になんねー」
「お兄ちゃん…」
プールから出ていく凛に、詰めていた息を吐き出す。
「なんなんですか、あれ」
「まぁ、色々あってね。御影君、大丈夫?」
「隠してたんすか、凛がいること」
「言ったら来なかったでしょ?」
ニコニコと笑いながら言う橘さんに、この人本当は怖いんじゃね?と心の中で呟く。
外していたイヤホンを付け直して、もう1度壁に背中を預けた。
真琴視点
御影君は壁に背中を預けて、顔を伏せている。
「今日の所はうちの1年と一緒に練習してもらおうと思う。よし、それじゃあ1本ずつのタイムトライアルから始めようか。…ん?そこの君、早く水着に着替えて」
御子柴の視線は竜ヶ崎君に向けられる。
「すみません、彼水着忘れちゃったみたいで」
「はぁ?一体何しに来たんだ。うちにある予備の水着を貸すから早く着替えて来い」
「え?」
「おい、似鳥」
御子柴に言われた似鳥と言う1年が竜ヶ崎君を連れて行く。
俺は泳がないって言ってたのにな…
「あちゃー…」
渚も困ったようにそれを見送る。
「それから、そこのジャージの奴。イヤホン外せ」
壁際で俯く御影を指差した御子柴。
俺は慌てて、御子柴さんの前に立つ。
「彼、泳ぐ直前までああやってやるのが癖で…泳ぐときはイヤホンも外してジャージも脱ぐので」
「そうか、ならいい」
結局水着になって戻ってきた竜ヶ崎君は顔をしかめている。
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