御影視点
締め付けられた首を摩りながら出口に行くと七瀬さんがいた。
「…ども」
「背中」
「え?」
七瀬さんは俺を見ずに言葉を続ける。
「傷があるから…水泳部に入らないのか?」
「…なんのことっすか」
「水に入った時、見えた」
七瀬さんの言葉に俺は目を伏せる。
「クロール専門なのに、バックだったのも…背中の傷を隠すため」
「だったらなんすか…てか、凛との話も聞いてたんすね」
「まぁ…」
隠し通せたと思ったんだけどな…
右手で背中を撫でて、溜息をつく。
「関係、ない」
「え?」
「水が好きなら…傷なんて関係ない」
…七瀬さんって、いろいろ言葉が足りないっつーか…
水が中心なのか?
「泳ぎたいなら…泳げばいい」
「傷を曝すのは嫌っすよ?」
「…水より大事なものはない」
…うん、水中心だな。この人…
そりゃ、4月からプールに入るような人だしなー…
「練習の時だけ全身の使えば?」
「本番は傷を曝せと?」
七瀬さんは黙りこんだ。
まぁ、この人なりの勧誘なのか…な?
うん、そういうことにしとくか…
「考えておきます」
「ん」
右手で胸のあたりの服をつかむ。
バレたのが背中だけでよかった…
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