今日は部活はないと言われ、帰ろうとした俺の前に現れた葉月。
「朱希ちゃん!!一緒に行こう」
「は?行くってどこに?つか、なんでちゃん付け…」
「あ、僕のことは渚でいいよ!!」
「人の話を聞け」

腕を引かれて連れて行かれたのは校庭。
「まだ諦めないのか?」
「もちろん」

途中で巻き込まれた先輩達と松岡。
視線の先には竜ヶ崎。
勧誘をまだ続けているらしい。

「でも…なんか、怜ちゃん…スッキリした顔してるよね」
「そりゃあんなに盛大に溺れたらなぁ…逆に開き直るっしょ?」
「え、それ違くない!!?」

竜ヶ崎は棒高跳びの選手らしく、スタート位置に立つ。
そして走り出した彼は華麗に飛んでみせたが、ポールの上でこれでもかと言うほど手足を広げる。

「「「「ええぇぇええ!!!?」」」」
「アホか…」
「落ちた」

そのまま落下した彼に俺は溜息をつく。
真面目な顔して、結構アホなのか?

「え、こっちにくるよ?」
眼鏡を直しながらこちらに歩いてきた竜ヶ崎が遙さんの前で足を止める。

「僕も七瀬先輩みたいになりたい」
「え?どういう意味?」
「僕も…あんな風に自由に」
「自由じゃない。フリー」

あー遙さんってやっぱり変だな。
竜ヶ崎は自由に泳ぎたいって言ってるんだろうけど、遙さんはフリースタイル。自由形の話してるし…

「フリー…と、とにかく正式に水泳部に…入れてください!!」
直角にお辞儀をした竜ヶ崎に驚きの声が上がる。

「本当に!!?」
「泳ぎたい奴は泳げばいい」
「じゃあ、決まりだね」
「うんっ」

これでリレーに出させられることはなくなったし…
俺は一人で泳げるな。

「で、でも一番最初に僕を誘ったのは君なんですからちゃんと責任取ってくださいよ。渚、君」
「うんっ!!まかせといて!!」

笑顔で竜ヶ崎に飛びついた渚。
真琴さんは嬉しそうにそれを見ていた。
遙さんは無表情だったが、水の色をした瞳はキラキラと輝いていた。

「単純だな…」


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