朱希視点

俺を追いかけてくる松岡江に小さく溜息をつく。

「松岡…ねぇ」

次の授業の教科書を出して、窓の外に視線を向ける。

「朱希君」
「まだなんか用?」

アイツと同じ髪色のその女は、携帯の画面をこちらに向けた。

「お兄ちゃんにここにいるって教えたから」
「だから?」
「え?」

頬杖をついたまま視線を窓の外から彼女に向ける。

「ここに凛が来たところで俺が話をするとでも?もう関わる気はない」
「どうして!!」
「どうして?…それを君に教える義理はどこにある」

傷ついた顔をした彼女にまた大きなため息をついた。

「凛のことを話すというなら、俺はお前の話はもう聞かない」
「え?」
「迷惑だ」

松岡は俺に背を向けて教室を飛び出す。

「御影、機嫌悪いの?」

前の席の男子の言葉に首を横に振る。
「別に」

視線を窓の外に向けて手をきつく握りしめる。

「どうして、帰ってきたんだよ…凛」


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