部活帰りに寄ったコンビニでみんながアイスを買うとアイスコーナーに行くのを見ながら俺は雑誌に視線を向ける。

「朱希?どうしたの?」
「真琴さん?アイス買わないんすか?」
「ハルと半分ずつ。朱希は買わないの?」

アイスコーナーで騒ぐ彼らを見て目を伏せる。
「アイスはあまり、好きじゃないんで…」
「え?珍しいね」

練習帰り、2人で並んで歩いた道。
途中のコンビニでアイスを買って半分俺に渡してくるあの人を嫌でも思い出す。
あの日以来…アイス食べれてないんだっけ…

「朱希?大丈夫?顔色…悪いけど」
「平気です。先に外出てますね」
「え?うん」

真琴さんは優しすぎるから。
あの人とどこか重なってしまうのだ。

「あれ、朱希ちゃん買わないの?」
「俺はいいよ」
「一口いるー?」

こちらにアイスを向けてくる渚に首を横に振った。

渚から離れるように一番後ろに行くと、真琴さんがアイスを半分に割って遙さんに渡す。
それを見て、足が止まった。

足を止めて初めて、自分の手が震えていることに気づく。

「…マジかよ…」

震えの止まらない手を見つめながらポツリと吐き捨てる。

「あれ…朱希?」

くるりとこちらを向いた真琴さんが俺を見る。
真琴さんにつられて遙さんも視線をこちらに向ける。
2人の手の中にある同じ色のアイス。
俺は一歩後ろに下がる。

「どうかした?」
こちらに近づいて来ようとする真琴さんに首を横に振る。

「あ、の…ちょっと…忘れ物したので…取ってきていいっすか?」
「え?」
「…先帰ってていいっすよ。あー…お疲れ様でした」

一方的に言葉を吐いて、来た道を戻る。
それでも震える手に小さく舌打ちをする。

「ハルの家にいるから!!来れたら来て」

後ろから聞こえた真琴さんの声に小さく息を吐いた。


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