「どうしたの?」
「……昨日、凛と電話したんです」
「凛と?」
驚く真琴さんを余所に俺は言葉を続ける。
「アイツは俺を優しいって言った。だから嫌いにもならないし裏切り者だと罵りもしないって…俺を忘れることはきっとないって」
「うん。それで?」
「けど…俺は…アイツに忘れて貰いたい。裏切り者だと罵って嫌いになってもらいたかった…」
「…どうして?そこまで自分を追い込む必要ないんじゃない?」
この人の手、何でこんなに大きいんだろ…
そんなところまで、似てるのかよ…
「俺は…アイツの泣き顔を見たくない。アイツに…背負わせたくない。だから、忘れて欲しかった。なのに…アイツは…」
「朱希…」
「……すいません、忘れてください」
俺は水に潜る。
「ちょ、朱希!!?」
「…全部、忘れてください」
真琴視点
朱希が少し変だ。
昨日の帰り、突然俺達から離れて…
しかも凛と電話して…
今日になったら泣きそうな顔して、プールにいた。
「やっぱり、水泳部に引き込まない方がよかったのかな?」
けど、朱希は自分の意志で部に入ることを決めて…
朱希の背負ってるものって何だろう?
いつか話してくれるのかな?
「朱希、風邪ひかないでね」
「遙さんじゃないんで、それはないっす」
「授業サボりすぎたダメだよ!!」
さっきまであんなに泣きそうだったのに今は何事もなかったかのようにケロッとしてる。
朱希は凄く不安定だと思う。
感情のコントロールは上手みたいだけど…なにか大きなものを抱えててたまにそれが朱希を押しつぶしてるんだと思う。
いつか、話してくれたらいいけど…
そう思いながら教室に向かった。
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