そして合宿の日。
言われた通りの荷物を持って、家を出る。
「あー…これ、時間ぎりぎりかなー…」
そんなことを考えながら指定された港へ向かう。
ポケットに入っている携帯には相変わらず凛からの電話とメールが入る。
毎日ではないけど、定期的に。
凛たちも合宿があるらしい。
そんなことはどうでもよくって、最近似鳥からメールが届くようになったのだが…
「なんで、凛の写真送ってくるかなー…」
机の上にある俺との写真も送ってきてくれた似鳥に多少イラッと来るのは言わないで置くけど…
「おはようございます」
「あ、朱希ちゃん!!おはよー」
「渚、朝からうるさい」
俺は耳を塞いで視線を船に向ける。
「本当に漁船なんだ…」
「これで全員揃ったか?」
「天方先生がまだです」
竜ヶ崎の言葉の直後に聞こえた車の音。
凄い勢いで俺達を通り過ぎたピンク色の車から先生が下りてくる。
「すみません、お待たせしました。笹部さんですね?この度はお世話になります。あのこれ、つまらないものですが」
「あ、どうも……ん?どこかでお会いしたことが…?」
「いえ、そんなことは!!初めてお会いしますけど」
そんな2人のやり取りが終わって、船に乗り込む。
船尾に体を預けて空を見上げた。
「空…青いな…」
テンション高めな渚と松岡の声を聞きながら目を閉じる。
「朱希、落ちないでね?」
「落ちたら泳いでいきます」
「いや、それはちょっときつくない?」
苦笑する真琴さんに視線を向けてからもう一度空を仰ぐ。
「あの日…飛行機から見えた空も…こんな風に青かったな」
誰にも聞かれることなく呟いた言葉。
雲を見下ろし、いつもより近い青空に子供らしく2人してはしゃいだっけなぁ〜…
ぼんやりと昔のことを思い出しながら目を閉じた。
到着した場所は思いのほか綺麗な場所だった。
女性陣は随分とハイテンションで、逆に竜ヶ崎は船酔いしたのか顔が真っ青だった。
「大丈夫か、怜?」
「…お手洗い行ってきます…」
船が戻っていくのを見送り、荷物を片づける。
居なくなっていた竜ヶ崎が顔色を少し良くして戻ってきた。
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