「みなさん、ちょっと来てください」

竜ヶ崎の少し焦った顔に嫌の予感がして俺は目を伏せる。
「俺、ここで荷物見てるので」
「え?朱希行かない?」
「はい。いってらっしゃい」

荷物の隣に腰を下ろして携帯を開く。

「眠い…」

休日ならまだ寝てるのにな…
携帯の時計を見ながら小さく息を吐いた。

戻ってきた5人曰く、鮫柄がいたらしい。
胸がキリキリと痛むときはいいことはないな…

「やっぱり…か」
「やっぱり?」
「いえ、なんでもないっす」

それからキャンプOKの場所にテントを張って、水着に着替えた。

「地図を見て分かる通りこの島の周りにはいくつか小さな島がある」
「無人島だね」
「だから、なんだそんなに無人島好きなんですか!!?」

海から見える3つの島。
その間を泳ぐのが今回にメニューらしい。

「島の間の距離は約1キロ。合計すると1セット4キロの遠泳と1キロのランニングになる。初日はそれを3セット泳ぐのを目標にしたい」
「結構きついね。怜ちゃんは大丈夫?」
「怜は初心者だから別メニューを用意してる」
「いえ、皆さんと同じで大丈夫です」

どこか強気に言った竜ヶ崎から俺は視線を逸らす。
「遠泳の理論は完璧に叩きこんできましたから」
「海に理論が通用するはずないだろ」
「そうそう。同じメニューでやるならビート板かヘルパーを」
「選べ」

遙さんがズイと竜ヶ崎に迫る。

「美しくない」
「普通にビート板がいいよ。それじゃあ、」
「特訓開始〜」

海に飛び込んでいった渚と、それを追いかけた竜ヶ崎。
遙さんも海に行こうとして足を止めた。
視線の先には真琴さん。

「心配ないよ、大丈夫だって。俺達も行こう」
「あ、あぁ…」

海に入っていく2人を見ながら自分も足を進める。

「朱希も早く!!」
「あ、はい…」

久々に入った海に、一瞬足が止まる。

「朱希?」
遙さんが俺の顔を覗きこむ。

「行かないのか?」
「いや、行きます」


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