誰かの気配がして目を覚ます。

「…大丈夫か?」
「ん、平気…」

体を起こして、周りを見る。

「俺だけだ」
「…そう、か…」

体の震えは止まった。
意識もはっきりしてる。

「悪いな…迷惑かけた」
「別に。これ、飯」
「え?」

差し出された袋の中にはおにぎりや栄養補強食品。

「一応、ここにいること江に知らせたら起きたらご飯を食わせろって」
「…真琴さんか…」

上手く逃げれたと思ったんだけどな…

「食え」
「…いや、腹減ってねェし…」
「今朝から食ってないんだろ?」

凛は俺が食べるまでここに居るんだろうな…
仕方なしに袋から栄養補強食品を出して、一口齧る。

「…やっぱ、いらねぇ…」
「はぁ!?」
「いや、マジで」

残り二口ぶんくらいのそれを凛の口に押し付けて小さく息を吐く。

ご飯が食えないことは今に始まったことじゃない。
仕方ないのだ…

「お前なぁ…食べねぇと倒れるぞ?」
「へーき」

袋の中からスポドリを貰って、少し飲んだ。

「…そろそろ、海戻るわ」
「戻れんのか?」
「おう。サンキュ」

ソファから立ち上がって外に出る。

「あ、朱希!!パーカー!!」
「え?」
「ちょっと待ってろ」

部屋に戻っていく彼を見送って空を見上げる。

「…もう、泳げるかなー…」

パタパタと足音が聞こえて凛が戻ってくる。

「助かった」
「いや、いいよ。濡れて帰ったのか?」
「止まなかったからな」
「風邪は?」

ひいてねぇよ、と凛が笑った。

「そう、か…じゃあ、本当に助かった」
「…もし、話す気になったらいつでも聞く」

何を、なんて聞かなくてもわかる。
あの震えの原因だ。

「そんな気にはならねェわ」
「…また、連絡する」
「気が向いたら出てやる」

笑いながら言うと凛の眉間に皺が寄った。
そして、無理矢理腕を引かれて重なった唇。

「…り、ん…?」
「心配させた罰だ」

顔を真っ赤にして去っていく凛にその場に立ちすくむ。

「…マジかよ…」

顔が熱い。
早く、水に飛び込みたい…


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